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【医療機関の方へ】難治性過活動膀胱(Refractory OAB)診療のご案内
― 薬物療法で改善しない患者さんをご紹介ください ―

最近の日本排尿機能学会の疫学調査で、本邦の過活動膀胱(OAB: Overactive bladder)有病率が示されました。20歳以上で11.9%,40歳以上では13.8%,年齢とともに上昇することが報告されています。診療は泌尿器科だけでなく、内科、婦人科でも行われ、主に内服療法(抗コリン薬、β3アドレナリン受容体作動薬)で対応されています。

薬物療法の奏功率は実臨床では7割程度で、12週間の内服治療を行っても効果不十分に終わる症例を「難治性過活動膀胱」と定義しています。

本邦では多数の製薬会社から過活動膀胱治療薬が販売され、またそれ以外に漢方薬などの選択肢もあります。組み合わせて使用するなどの報告もあります。
しかし、残念ながら試行錯誤しても満足に至らない症例があります。

また、薬物療法による副作用により継続が難しい症例もあります。効果があっても薬剤の継続率も低いことも報告されています。

この難治性過活動膀胱に対する加療として2017年より仙骨神経刺激療法(Sacral Nuromedulation: SNM)また2020年よりボツリヌス毒素膀胱壁注入療法が保健収載されました。過活動膀胱の頻度から考えれば難治性過活動膀胱の症例数は少なくないにも関わらず、専門的治療へ進む患者はごく一部に留まり、まだ行き届いている治療にはなっていません。

当院ウロギネ・女性排尿機能センターでは女性の排尿障害に対するスペシャリストとして両治療を保健収載と同時に導入し治療を行ってまいりました。その治療をご紹介します。

1、 ボツリヌス毒素膀胱壁注入療法(ボトックス療法)

本治療はGSK社が発売するBotox® 100単位を膀胱壁内に膀胱鏡下に注射し、副交感神経の末端からAchの放出を抑制し排尿筋の収縮抑制、また詳しいメカニズムはまだ定かではありませんが、膀胱求心路への作用により尿意を抑制します。

  1. 膀胱内リドカイン注入による局所麻酔で、薬剤を膀胱壁に局注します。施注は5分程度で外来での施行が可能です。(入院でも可能です)
  2. 当院で85名の治療を行った経験で、施術後排尿困難になり一時的に自己導尿になった方は1名(1.1%)でした。自己導尿は1ヶ月で離脱できました。
  3. 尿路感染症、血尿による追加加療経験はありませんでした。
  4. 施術後の満足度調査では“良かった”までで41.1%、“やや良かった”まで含めると71.9%でした。

ボトックス療法は“手軽さ”のメリットの反面、4−8ヶ月程度で効果がなくなり再施注の必要性があります。

2、 仙骨神経刺激療法(Sacral Neuromodulation: SNM)

本治療は仙骨神経(陰部神経)に電気刺激用のリード線を置いて、臀部に埋め込んだ電池により持続刺激することで治療を行います。欧州ではボトックス療法よりも古くから行われています。便失禁にも有効です。
現在使用されているデバイスはMedtronic社から発売されているInterStimII® で体内挿入後もMRI撮影が可能です。

  1. リード線挿入の手術を施行します。全身麻酔で30分〜1時間程度です。小切開で埋没縫合しますので、帰宅後の入浴が可能です。
  2. 施術後の生活制限はありません。MRIを含む医療検査が可能です。
  3. 挿入された電池の寿命は、刺激の強さにもよりますが、10年程度です。充電式のものもあります。
  4. 外来受診で刺激が正しく行われているかをチェックしますが、安定している場合は自身での管理で問題ありません。
  5. 施術後の満足度調査では“良かった”までで44.0%、“やや良かった”まで含めると69.0%でした

SNMは入院での電極挿入が必要なこと、治療費がボトックス療法より高額ですが、長期で見れば寧ろ安く済みます。便失禁を伴う症例(重複失禁)には特に有効で当科でも良い効果を得ています。

過活動膀胱診療 ―Shared decision makingを取り入れたOAB診療―

最近、欧米の過活動膀胱診療ガイドラインでは”Shared decision makingを取り入れたOAB診療”が提唱されています。これはOAB診療に患者自身に「何を重視するか」、を治療選択に反映させる」ことです。
OAB治療を受ける側が自身で決定できるように、現状治療の問題点は何か、今後に期待出来る治療法とは、その効果、デメリットなどの情報を提示していく必要があります。我々はこれまでの診療経験を活かしてOABに悩む患者さんにご説明します。当該症例がございましたらご紹介ください。

以下の予約センターにお電話の上、診療予約をお願いいたします。

予約センター
亀田クリニック(千葉鴨川)   TEL:04-7099-1111
亀田京橋クリニック(東京)   TEL:03-3527-9201
亀田MTGクリニック(千葉幕張)TEL:043-296-8175

亀田メディカルセンター・女性排尿機能センター
野村昌良
林篤正

亀田メディカルセンター ウロギネ・女性排尿機能センター

以下、3カ所のクリニックで外来診察が可能です。お悩みの方はお気軽に医師にご相談下さい。※受診予約が必要です。

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※クリニックごとに診察日や予約受付時間が若干異なります。詳細は下記の受診案内でご確認下さい。

受診案内

このサイトの監修者
亀田総合病院 ウロギネ・女性排尿機能センター センター長 野村 昌良
【専門分野】ウロギネ(泌尿器科と婦人科の中間にあたる分野:骨盤臓器脱、尿失禁)、排尿障害(間質性膀胱炎、過活動膀胱など)