膀胱腟瘻相談窓口の開設
膀胱腟瘻は稀な疾患ではありますが、常に尿がもれることで患者さんのQOLを大きく損ないます。発展途上国では出産に伴う膀胱腟瘻が多いのですが、先進国ではほとんどが医原性です。すなわち手術の合併症として発生することがほとんどです。圧倒的に多いのが婦人科で子宮全摘術を行なった後です。また子宮癌などに対して放射線治療を行なっていると、合併症として膀胱腟瘻になることがあります。この場合は放射線治療を行なっているために組織が非常に脆くなり治療が非常に難しくなります。
この膀胱腟瘻は、従来ほとんどの症例において経腟的な修復術が行われていました。しかしながら腟からは手術が困難な症例や手術後に再発する症例も認められていました。一方、近年は腟深部に位置する膀胱腟瘻に対して腹腔鏡を用いて行う手術が報告され、良好な成績を示しています。このように瘻孔の部位や大きさや腟のサイズ、また放射線治療の有無によってアプローチの方法を変えた方がよいとされています。また膀胱腟瘻を修復した場合に、再発を防ぐために膀胱と腟の間に組織を介在させる方法をしばしば行います。この方法にも様々なものがあり、例えば大陰唇の脂肪を使うもの、腹膜フラップを使うもの、また大網を使うものがあり、症例によって適切な手術方法を選択しなければなりません。
このように膀胱腟瘻の手術は高度のテクニックだけでなく、瘻孔の位置および瘻孔周囲の組織の状況を適切に判断し、適切な治療を選ぶ力が要求されます。
しかしながら日本では膀胱腟瘻を専門に行っている病院はほとんどありませんでした。我々は以前から経腟から腹腔鏡まで様々な方法で膀胱腟瘻に取り組んできました。さらに最近、我々は国際的に膀胱腟瘻治療の有名な医師とネットワークを構築し、治療に関して様々なアドバイスが得られるような環境となり、当院の膀胱腟瘻治療は大きな発展を遂げることができました。
以下に協力していただける医師を紹介したいと思います。膀胱腟瘻の世界のトップランナーでアフリカなどへも治療にしばしば行かれているアメリカ合衆国のノースカロライナのWake Forest School of MedicineのCatherine Matthew教授、またインドでは現在でも多くの膀胱腟瘻が発生しており、その治療の第一人者の一人である南インドのチェンナイのUrogynaecology Research CentreのDr. N. Rajamaheswariです。両医師の協力を得ることで、今回当院ウロギネ女性排尿機能センターに膀胱腟瘻相談窓口の開設を行うことができました。膀胱腟瘻治療の豊富な経験をもつ彼らのアドバイスは膀胱腟瘻治療の治療方針の決定に大きな利点があると考えます。
この膀胱腟瘻相談窓口は医療者および患者様両方からアクセスすることが可能です。今まで治療ができないとあきらめていた医療者の方だけでなく、病院で治療が難しいといわれ、あきらめていた患者様もお気軽にご相談ください。
膀胱腟瘻相談窓口
メールでの相談:nomura.masayoshi@kameda.jp
電話での相談:亀田総合病院 04-7092-2211(代表)でウロギネ科の医師事務の佐藤に連絡してください。担当医師が折り返し連絡します。
担当医師
亀田総合病院ウロギネ・女性排尿機能センター
野村昌良医師、林篤正医師