かめだPOST 脳腫瘍の症状(脳神経外科分野における脳腫瘍の治療)亀田総合病院

脳腫瘍とは?

脳腫瘍は、脳または脳周辺の細胞が異常に増殖することにより発生します。頭蓋内で発生するものを「原発性脳腫瘍」と呼びますが、がんが体の他の部位から脳へ転移する場合は「二次性脳腫瘍(転移性脳腫瘍)」と呼ばれます。

原発性脳腫瘍には多様な種類があり、すべてが一般的な「がん」とは限りません。良性脳腫瘍の場合、成長することで脳組織を圧迫することがあります。良性腫瘍自体は悪性ではありませんが、周囲の正常な脳を圧迫する場合や将来圧迫する可能性が高い場合には治療が必要となります。一方、悪性脳腫瘍は生命を脅かす可能性がある腫瘍です。

脳腫瘍の大きさは、非常に小さいものから非常に大きいものまでさまざまで、症状によって早期に発見されるものもあれば、進行してから発見されるものもあります。脳の機能局在が複雑であるため、発見されるタイミングには個人差があります。

脳腫瘍の治療法は、腫瘍の種類、大きさ、位置によって異なります。一般的な治療法には、手術、放射線療法、化学療法があります。私たち脳神経外科医は、脳の機能局在や治療法の利点とリスクを熟知しており、患者様一人ひとりに最適な治療法をわかりやすく説明し、提供しています。

脳腫瘍の具体的な種類は?

脳腫瘍には多くの種類があり、腫瘍を構成する細胞の種類によって分類されます。摘出された腫瘍細胞を病理学的に検査することで、腫瘍の種類や悪性度、成長速度を判断し、治療方針の決定や予後の予測に役立てています。
主な脳腫瘍の種類は以下のとおりです。
  • 神経膠腫

グリア細胞と呼ばれる脳組織細胞の増殖によって発生します。グリア細胞にはさまざまな種類があり、星細胞腫、乏突起膠腫、上衣腫などが含まれます。多くは悪性であり、膠芽腫は最も一般的な悪性脳腫瘍です。

  • 髄膜腫

脳と脊髄を覆う膜(髄膜・硬膜)から発生します。脳から直接発生するものではありませんが、脳を圧迫して神経症状を引き起こすことがあります。髄膜腫の大半は良性ですが、まれに悪性のケースもあります。

  • 神経鞘腫

脳神経を囲む「鞘」から発生する腫瘍で、頭蓋内で最も一般的なものは聴神経鞘腫です。ほとんどが良性ですが、脳幹に近接しているため治療介入が必要なことが多いです。

  • 下垂体腫瘍

下垂体と呼ばれる小さな脳組織から発生する腫瘍です。ホルモンの異常によって全身に症状が出たり、視神経に近いため視野や視力障害を引き起こすことがあります。ほとんどが良性で、下垂体腺腫、頭蓋咽頭腫、ラトケ嚢胞などが含まれます。

  • その他の脳腫瘍

頭蓋骨に形成されるものなど、まれな種類の腫瘍もあります。どの脳腫瘍も病理学的診断が必要です。

脳腫瘍に伴う症状

脳腫瘍の症状は、腫瘍の大きさ、位置、成長速度(グレード)によって異なります。主な症状には以下のようなものがあります。

  • 朝に悪化する頭痛や圧迫感
  • 頻発する重度の頭痛
  • 吐き気や嘔吐
  • ぼやけた視界、二重視、視野の欠損
  • 手足の麻痺や感覚障害
  • バランスの不調、歩行時のふらつき
  • めまい
  • 言葉が出にくい、口がうまく回らない
  • 記憶障害や日常生活への支障
  • 簡単な指示の理解困難
  • 性格や行動の変化

良性脳腫瘍は症状がゆっくりと進行する傾向があり、悪性脳腫瘍は短期間で症状が急速に悪化することが多いです。

脳腫瘍の頭痛について

頭痛は脳腫瘍の最も一般的な症状であり、患者の約半数が頭痛を経験します。脳腫瘍が成長して周囲の正常な細胞を圧迫することで頭痛が発生する場合があります。また、脳腫瘍により脳が腫れ、頭蓋内の圧力が上昇することでも頭痛が引き起こされます。
脳腫瘍による頭痛は朝起きたときに悪化しやすいですが、日中のどのタイミングでも起こり得ます。頭痛で目が覚めることもあり、咳や緊張によって痛みが悪化することがよくあります。後頭部に腫瘍がある場合には、首の痛みを伴う頭痛が起こることがあり、前頭部の腫瘍では目の痛みや副鼻腔の痛みのように感じられることもあります。

医師の診察を受けるべきタイミング
気になる症状や兆候が続く場合には、医療機関を受診することをおすすめします。

脳腫瘍のリスク要因

原発性脳腫瘍を患う人の多くで、原因は明確ではありませんが、医師たちはリスクを高める可能性のあるいくつかの要因を特定しています。主なリスク要因には以下のものが含まれます。

年齢
脳腫瘍はどの年齢でも発生する可能性がありますが、高齢者で多く見られます。また、一部の脳腫瘍は成人に多く発生するものもあれば、子供に多く発生するものもあります。
放射線への曝露
高いレベルの放射線に曝露された場合、脳腫瘍のリスクが高まります。特に強い放射線は電離放射線と呼ばれ、体内の細胞のDNAに変化を引き起こすことがあり、これが腫瘍やがんの原因になることがあります。電離放射線の例として、がん治療に使用される放射線療法などがあります。なお、日常生活で触れる低レベルの放射線、たとえば携帯電話や電波などからのエネルギーは脳腫瘍のリスクには関連していません。携帯電話の使用が脳腫瘍を引き起こすという確実な証拠は現時点ではありませんが、さらなる研究が続けられています。
脳腫瘍のリスクを高める遺伝性症候群
一部の遺伝性症候群により、脳腫瘍のリスクが高まることがあります。例として、神経線維腫症1型および2型、結節性硬化症、リンチ症候群、リー・フラウメニ症候群、フォン・ヒッペル・リンドウ病、家族性大腸腺腫症、カウデン症候群、ゴーリン症候群などが挙げられます。こうした症候群の原因となるDNA変異は、家族内で受け継がれることがあります。
文責:東本 杏一

脳腫瘍が疑われる症状がある方や、脳ドックなどで再検査が必要とされた方で診察をご希望の方は、予約センターにてご予約をお願いいたします。また、他院からのご紹介患者さまも受け入れております。

東本医師の外来日
月曜午前 脳神経外科一般外来 / 水曜午後 脳腫瘍専門外来となります。

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