かめだPOST 脳腫瘍の診断(脳神経外科分野における脳腫瘍の治療)亀田総合病院

脳腫瘍の診断

脳神経外科医が脳腫瘍の疑いがあると判断した場合、確認のためにいくつかの検査と処置が行われます。以下に代表的な検査を示します。
  • 神経学的検査

神経学的検査では、視力、聴力、バランス、協調性、筋力、反射神経など、脳の各部位の働きを確認します。1つ以上の領域に異常がある場合、それが我々にとって重要な手がかりになります。神経学的検査自体で脳腫瘍の有無は分かりませんが、脳のどの部分に問題があるかを特定するのに役立ちます。

  • 頭部CTスキャン

CTスキャン(コンピューター断層撮影法)は、X線を使って脳の画像を生成します。結果が迅速に得られ、多くの医療機関で利用できるため、頭痛や他の症状がある場合に最初に行われることが多い検査です。CTスキャンによって脳内やその周辺の異常が検出されることがありますが、必要に応じてさらに脳MRIが行われます。

  • 脳MRI

MRI(磁気共鳴画像法)は強力な磁石を使用して体内の画像を作成します。特に脳の画像を鮮明に映し出すため、脳腫瘍の診断に適しています。多くの場合、検査の前に造影剤が静脈に注入され、これにより画像が鮮明になり小さな腫瘍も検出しやすくなります。また、特殊なMRIが必要な場合もあり、例えば機能的MRI(fMRI)は、脳のどの部分が話すことや動作を制御しているかを特定するために使用されます。他にも、磁気共鳴分光法や磁気共鳴灌流があり、それぞれ腫瘍細胞の特定の化学物質や血液の量を測定して、診断や治療計画の参考にします。

  • 脳PETスキャン

PETスキャン(陽電子放出断層撮影法)は、注入された物質が脳腫瘍細胞に付着し、PET装置で画像として確認されます。急速に分裂して増殖している腫瘍には特に役立ちますが、ゆっくり成長する良性の腫瘍の検出には適さないこともあります。PETスキャンは必ずしも必要とならないことが多い検査です。

  • 組織サンプルの採取

脳生検は、脳腫瘍の組織サンプルを顕微鏡などで検査するために採取する手技です。通常は腫瘍摘出の際に採取されますが、手術による摘出が難しい場合は定位生検が行われ、頭蓋骨に小さな穴を開けて細い針でサンプルを採取します。生検には合併症のリスクがあり、脳内出血や脳組織の損傷などが含まれます。採取したサンプルは、細胞が癌性かどうか、また腫瘍のグレードが確認されます。その他の検査によって細胞のDNA変化が判明することがあり、これが治療計画の作成に役立つことがあります。

脳腫瘍のグレード

脳腫瘍のグレードは、腫瘍細胞が病理室で詳細に検査された結果割り当てられます。グレードは、細胞がどの程度速く成長し、増殖するかを示す指標で、顕微鏡での細胞の見え方に基づいて1から4までの範囲で決定されます。

  • グレード1 の脳腫瘍は成長が遅く、細胞は健康な細胞とほとんど変わりません。 グレードが上がるにつれて、腫瘍細胞は変化し、健康な細胞との見た目の差が大きくなります。
  • グレード4  の脳腫瘍は非常に速く成長し、健康な細胞とはまったく異なる見た目になります。

上記は一般例であり、その腫瘍ごとにグレードの細かい規則が設けられています。

脳腫瘍には他の癌のような「ステージ(病期)」はありません。ステージは、通常の癌の進行度や転移の有無を表しますが、脳腫瘍や脳癌は転移することが少ないため、ステージ分けが行われていません。

予後

診断検査から得られた情報を基に予後を判断します。予後とは、脳腫瘍の治癒の見込みに関する評価のことです。予後に影響を与える要因には、以下のものがあります。

  • 脳腫瘍の種類
  • 脳腫瘍の成長速度
  • 脳腫瘍の位置
  • 脳腫瘍細胞に存在するDNA変化の種類
  • 脳腫瘍が手術で完全に除去できるかどうか
  • 患者様の全体的な健康状態
文責:東本 杏一

脳腫瘍が疑われる症状がある方や、脳ドックなどで再検査が必要とされた方で診察をご希望の方は、予約センターにてご予約をお願いいたします。また、他院からのご紹介患者さまも受け入れております。

東本医師の外来日
月曜午前 脳神経外科一般外来 / 水曜午後 脳腫瘍専門外来となります。

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