かめだPOST 脳腫瘍の治療(脳神経外科分野における脳腫瘍の治療)亀田総合病院

脳腫瘍の治療とアプローチ

脳腫瘍の治療方法は、腫瘍が悪性か、良性かによって大きく異なります。また、腫瘍の種類、大きさ、グレード、位置も治療法の選択に影響します。治療法には、手術、放射線療法、化学療法などがあります。我々は、患者の全体的な健康状態や希望も考慮して治療方法を決定します。
すぐに治療が必要ない場合もあります。脳腫瘍が小さく、悪性ではなく、症状もない場合は、経過観察となることがあります。小さな良性の脳腫瘍は、成長が非常に遅いか、問題を引き起こさないことが多いためです。腫瘍の成長を確認するため、年に数回のMRIスキャンを受ける場合もあります。腫瘍が予想より早く成長したり、症状が現れたりした場合は、治療が検討されることになります。

脳腫瘍に対する治療法

脳腫瘍の治療は、患者さまの症状や腫瘍の種類に応じて、最適な方法を選択します。主な治療法には、手術、放射線治療、化学療法があります。

手術

脳腫瘍手術の目的は、腫瘍細胞をできる限り多く取り除くことです。腫瘍が必ずしも完全に除去できるとは限りませんが、脳神経外科医は安全に取り除ける範囲でできるだけ多くの腫瘍を除去します。脳腫瘍手術は、悪性腫瘍および良性腫瘍のいずれの治療においても使用されます。

脳腫瘍の一部でも切除することで症状が緩和される可能性があります。脳腫瘍手術にはいくつかの方法があり、どの方法が最適か、どの摘出率が最適かは患者さまの状況によります。
例として、次のような手術があります。

  • 開頭術

頭蓋骨の一部を取り除いて脳腫瘍に到達する手術法です。多くの脳腫瘍手術で用いられ、悪性・良性腫瘍の両方に対応します。頭皮を切開し、ドリルで頭蓋骨の一部を除去し、腫瘍にアップローチします。手術後は取り除いた頭蓋骨は元の位置に戻します。

  • 覚醒下脳手術

手術中に一時的に患者を覚醒状態にし、質問に答えてもらうことで脳の重要な部分の損傷リスクを低減します。

  • 内視鏡手術

細長いトラクトと内視鏡を使用して腫瘍に到達する手法で、下垂体腫瘍など、鼻腔に近い腫瘍の治療に利用されます。また、頭蓋骨に小さな穴を開け、内視鏡を通して腫瘍を取り除く手法もあります。

私たちは、脳の働きや腫瘍の特徴について深く理解しており、患者さまの状態に合わせてリスクをしっかりと評価したうえで、最適な治療方法をご提案いたします。患者さま一人ひとりにとって、最も効果的で安心できる治療を一緒に考えていきますので、どうぞご安心ください。

放射線治療

放射線療法では、強力なエネルギービーム(X線や陽子線など)を使用して腫瘍細胞を破壊します。多くの場合、体外から照射する「外部ビーム放射線」を使用します。手術後の補助療法として使用することもあります。

外部放射線療法では、短時間の照射を数週間にわたって行います。腫瘍が多数ある場合には、脳全体を照射する「全脳照射」を行うこともあります。

放射線療法の副作用は、照射の種類と量によって異なり、治療中または直後に疲労、頭痛、脱毛などの症状が見られる場合があります。また、何年も経過した後に記憶や思考の障害が現れることもあります。

また、定位放射線療法という、複数の角度から放射線ビームを集中的に照射し、腫瘍細胞を破壊する治療法もあります。さまざまな技術が使用され、線形加速器(LINAC)やガンマナイフ、ZAP-Xなどの装置があります。いずれも放射線を正常脳組織に当てないことでより高い殺腫瘍効果を期待します。副作用には疲労や頭皮の炎症、脱毛があり、一部のケースでは永久的な脱毛もあります。

化学療法

化学療法では、腫瘍細胞を殺すために強力な薬剤を使用します。薬剤は錠剤や注射で投与されるほか、手術中に脳組織内に直接注入されることもあります。化学療法は放射線療法と併用されることもあります。副作用は薬剤の種類や量によって異なりますが、一般的には吐き気、嘔吐、脱毛などが起こることがあります。

治療後の回復

治療後、脳の腫瘍があった部分の機能回復をサポートする必要がある場合があります。動作や会話、視覚、思考などの面で支援が求められることもあります。特定のニーズに応じて、私たちから以下のサポートが提案される場合があります。

  • 失われた運動能力や筋力を回復するための理学療法
  • 職場復帰や日常生活への復帰を助ける作業療法
  • 会話が困難な場合に役立つ言語療法
  • 学齢期の子供の記憶や思考の変化に対処するための学習支援

臨床試験

今後のより良い医療の発展のため、私たちは常に臨床研究を行っています。同じ疾患に罹患されるであろう未来の患者さまのためにご協力をお願いすることがあるかもしれません。基本的に治療の妨げとはならず、患者さまの不利益となることはございません。ご協力のほど宜しくお願い致します。

文責:東本 杏一

脳腫瘍が疑われる症状がある方や、脳ドックなどで再検査が必要とされた方で診察をご希望の方は、予約センターにてご予約をお願いいたします。また、他院からのご紹介患者さまも受け入れております。

東本医師の外来日
月曜午前 脳神経外科一般外来 / 水曜午後 脳腫瘍専門外来となります。

亀田クリニック 予約センター
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