Young Mycologist Chiba Academy 2016

2016年12月17日(土)に千葉市で開催されたYoung Mycologist Chiba Academy 2016で、亀田総合病院呼吸器内科主任部長 青島が座長を務めました。

3名の先生方の当日の講演内容と質疑応答を記載します。

千葉大学医学部付属病院、血液内科、助教・診療講師 境田恵美子先生

演題:血液領域の真菌感染対策 〜リスク評価に基づく予防・診断・治療の戦略〜
「血液疾患患者の真菌感染対策には、まず患者のリスク因子の分析が重要である。ガイドラインに従い、高リスク、中間リスク、低リスクで判断する。好中球減少が10日以上続く場合は、ハイリスクであり、真菌感染の予防も考慮する必要がある。」

会場から当科の中島が「気管支鏡検査とCTガイド下肺生検の使い分けはどのようにしているか?」と質問し、境田先生は、「背側の病変などは、CTガイド下肺生検が良いと考えられる。」と返答されました。


千葉大学医学部付属病院 眼科 診療講師 北橋正康先生

演題:内因性真菌性眼内炎 〜眼科医とのコミュニケーションの取り方〜
「真菌性眼内炎は稀な疾患だが、発症した場合に重篤になる。血液培養で特にカンジダなどの真菌が陽性になった場合には、眼科へコンサルトする。初期症状として頻度が高い飛蚊症の有無を聞くのがポイントである。」
会場から当科の大槻が「原因真菌によって経過の早さは違いがあるのでしょうか?」と質問し、北橋先生は「フサリウムは非常に経過が早い。」と返答されました。


近畿大学医学部付属病院 安全管理部感染対策室 教授 吉田耕一郎先生

演題「深在性真菌症の血清診断法を再考する」
「Anti fungal Stewardshipの浸透が望まれる。深在性真菌症の早期診断・治療に血清診断法が有用である。近年、カンジダの種類による抗真菌薬の使い分けが困難になってきている。血清診断法には偽陽性・偽陰性に注意する。血清診断法は真菌学的検査の代替法にはならないことを理解しておく。原因真菌の分離、同定、そして可能な限り感受性検査を怠らないことが重要である。」

会場からは、「血液疾患患者の入院・外来中のガラクトマンナン抗原の測定頻度の目安はありますでしょうか?」という質問があり、吉田先生は「入院中にデータとしては、週に2回。でも実臨床では週に1回くらいかもしれない。」と返答しました。

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このサイトの監修者

亀田総合病院
呼吸器内科部長 中島 啓

【専門分野】
呼吸器疾患