器質化肺炎がプレドニン20mg以上で再燃する場合は血管炎や悪性リンパ腫を考える

特発性器質化肺炎(Cryptogenic organizing pneumonia:COP)は、市中肺炎類似の臨床所見や画像所見を示す特発性間質性肺炎です。

他科や他院より、「抗菌薬不応性の肺炎」として、呼吸器内科に紹介されることが多いです。


抗菌薬治療に反応が乏しい亜急性の経過の肺炎や、移動性の浸潤陰影を認めた場合に、COPを疑います。

COPの診断は、(1)臨床所見がCOPに合致し、(2)経気管支肺生検で器質化肺炎を認め、(3)続発性器質化肺炎(Secondary organizing pneumonia:SOP)を臨床像より除外できる、という3点で成り立ちます【1】。


診断において重要なポイントとしては、経気管支肺生検で「Organizing pneumonia」の病理像が得られたとしても、感染症、膠原病、血液疾患、他疾患の周囲にみられる器質化など、COP以外に多くのSOPがあることに注意する必要があります【1】。

よって、COPと臨床診断して、ステロイド治療に反応したとしても、常にSOPの可能性を、頭の片隅に置いておく必要があります。


COPは再燃しやすい疾患ですが、COPの再燃はプレドニゾロン20mg以下で起こることがほとんどと考えられています。

プレドニゾロン20mgより多い量で器質化肺炎が再燃して来る場合は、血管炎やリンパ腫によるSOPなど他疾患を考えるべきというクリニカルパールがあります【2】。


(例:経気管支肺生検で器質化肺炎の診断となり、ステロイドに治療に反応したが、ステロイド減量中にPSL20mgで肺病変増悪を認め、好中球減少も出現し前駆Tリンパ芽球性白血病の診断となった1例:胸部CT所見)


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臨床で、COPを確実に診断するためには、症例によっては、胸腔鏡下肺生検の検討も必要かもしれません。

参考文献

  1. 青島正大 編. 亀田流 驚くほどよくわかる 呼吸器診療マニュアル.羊土社 2014年 東京
  2. Am J Respir Crit Care Med. 2000:162:571-577

このサイトの監修者

亀田総合病院
呼吸器内科部長 中島 啓

【専門分野】
呼吸器疾患