第57回 日本呼吸器学会学術講演会 その4 青島主任部長がYear Review in Assembly 7にて講演し、シンポジウム3の座長を務めました

第57回日本呼吸器学会学術講演会(4月21日〜4月23日)が東京国際フォーラムで開催されました。今回、当科からは、ポスター発表9演題、症例検討会での症例提示、臨床諸問題学術部会長である主任部長青島がYear Review in Assembly 7における講演など合計で11演題を発表しました。城下医師はトラベルアワードを受賞しました。

本稿ではその4として、青島の講演と、座長を務めたシンポジウムについて報告します。

青島は、Year Review in Assembly 7 臨床諸問題学術部会で講演しました。

当学術部会は呼吸器内視鏡、画像診断、環境・職業関連問題、喫煙、肺移植など広範な領域をカバーしているため、今回、呼吸器画像診断、肺移植の2領域に絞り、この領域を専門とする部会委員の協力のもとReviewを行いました。

文献の一つとして、CT上の間質肺陰影の全死亡との関連(Association Between Interstitial Lung Abnormalities and All-Cause Mortality. JAMA. 2016 Feb 16;315(7):672-81)を紹介し、本論文の意義として「肺野のHRCT上の間質陰影の存在が、患者の予後に影響することを大規模なコホートを用いて証明した論文となる。これらのコホートの今後の追跡調査により、間質陰影を持つ患者の死亡に関するリスクファクター、死因などの検討が必要である。」と述べました。

また、青島は、シンポジウム3「超高齢社会の地域医療:フレイルと呼吸器疾患」の座長を新潟大学大学院医歯学総合研究科健康増進医学講座 田中純太准教授と共に務めました。

加齢により生理的な機能変化や予備能力の低下が生じて、健康障害に対する脆弱性が増加した状態をフレイルと呼びます。現在、フレイルと呼吸器疾患の関連が、注目がされております。

今回、「高齢社会の地域医療:フレイルと呼吸器疾患」をテーマに、4名の医師が講演されました。 座長 青島は、総合討論の冒頭で「日常の活動度が、COPDや肺炎の予後予測因子になるということが報告されている。低栄養や筋肉量の低下との肺炎の再発症の関連、日常の活動性とCOPD、認知症比率の関係など、フレイルと呼吸器疾患の関連が見えてきた。」と述べ、「フレイルを早期にスクリーニングする方法はありますでしょうか?」と演者の先生方に質問しました。

演者の先生からは、「フレイルを早く見つけるためには、医師だけではなく、医師以外のコメディカルからの情報収集が重要である。」ということや「アイリシンやマイオカインは、筋肉量や活動性を見分ける方法として、バイオパーカーになりうるかもしれない。」と述べました。

また、さらに青島から「フレイルは上肢から来るのか?それほど下肢から先に来るのか?」という2つ目の質問が演者にあり、演者の先生方からは、「特定の部位というよりは、全身から起きているという印象を持っている。」という意見や、「大腿四頭筋など下肢筋力が重要な因子となっている。」というコメントがありました。

フレイルと呼吸器疾患に関する最新情報を知ることができ、大変勉強になりました。

(シンポジウム座長の青島主任部長)

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このサイトの監修者

亀田総合病院
呼吸器内科部長 中島 啓

【専門分野】
呼吸器疾患