第57回日本呼吸器学会学術講演会 その3 城下医師と根本医師の発表

第57回日本呼吸器学会学術講演会(4月21日〜4月23日)が東京国際フォーラムで開催されました。今回、当科からは、ポスター発表9演題、症例検討会での症例提示、臨床諸問題学術部会長である主任部長青島がYear Review in Assembly 7における講演など合計で11演題を発表しました。また青島はシンポジウム3の座長をつとめました。城下医師はトラベルアワードを受賞しました。
本稿ではその3として、城下医師と根本医師の発表について報告します。

城下は、「ADL不良患者における肺炎の予後規定因子:単施設後ろ向き観察研究」を発表し、「ECOG performance status 3,4の患者においての市中発症肺炎の予後規定因子は慢性腎不全の有無、ADROP重症、IROAD3点以上であった。」という結論を述べました。

会場からは、「亀田総合病院では市中発症肺炎に対しての抗菌薬は実際どのように投与されていますか?」という質問があり、城下は、「CAPとNHCAPをあわせて市中発症肺炎と定義し、環境因子、宿主因子、選択圧を加味したうえで抗菌薬選択をしています。つまり、患者さん各々の耐性菌のリスク因子を考慮し、ADROPで重症度判定を行って抗菌薬選択をおこなっています。」と返答しました。

城下は、「トラベルアワードを頂けて大変光栄です。市中発症肺炎というコモンかつ奥深い題材について考えるのは大変勉強になりました。」と感想を述べておりました。


根本は「COPD合併肺炎における吸入ステロイド薬の影響についての検討:単施設後ろ向きコホート研究」を発表し、「当院を含む市中発症肺炎の多施設共同前向き疫学研究のデータを用いCOPD合併肺炎についてのサブ解析を行いICSの使用が肺炎のリスクとなるかというクリニカルクエスチョンを検討した。単変量解析ではICS使用群と非使用群に有意差はないももの無再発期間はICS群で164日短い結果であった」という内容を述べました。

会場からは、「気管支喘息-COPDオーバーラップ症候群(ACOS)の除外方法は?」という質問があり、根本は、「カルテ上の記載からAsthma合併を除き、さらに呼吸機能検査でCOPDの基準を満たさないものも除外とした。」と返答しました。

根本は、「新しい知見がさまざまな分野で存在し、非常に勉強になる有意義な3日間でした」と感想を述べておりました。

*亀田総合病院呼吸器内科は出身大学に関係なく、様々なバックグラウンドの医師が、それぞれの目標に向かって、診療に取り組んでいます。当科は、後期研修医とスタッフを募集しております。見学は随時受け付けておりますので、ご興味のある方はいつでもkei.7.nakashima@gmail.comにお問い合わせ下さい。

(城下医師:研修医トラベルアワード受賞演題を発表中)

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このサイトの監修者

亀田総合病院
呼吸器内科部長 中島 啓

【専門分野】
呼吸器疾患