第178回 日本肺癌学会関東支部会 大槻医師の口演発表および三沢部長が座長を担当

2017年3月4日に京王プラザホテルで開催された第178回日本肺癌学会関東支部会(会長;千葉大学大学院医学研究院呼吸器内科学・巽浩一郎教授)にて大槻医師(指導:中島部長代理・三沢部長)が発表し、三沢部長がセッション「内科2」の座長を担当しました。

本稿では大槻医師の発表と三沢部長の支部会の感想を述べます。


大槻は、「浸潤性粘液産生性肺腺癌(Invasive Mucinous Adenocarcinoma; IMA)に対して4次治療でニボルマブを投与し効果を認めた1例」を報告し、「IMAはKRAS遺伝子変異陽性例が多いため、ニボルマブが有効な治療選択肢になる可能性がある」と結論を述べました。

会場からは、PD-L1の発現に関する質問があり、大槻は「現在、検索中です」と返答しました。また、ニボルマブ投与前の化学療法に関する腫瘍縮小効果に関しての質問もあり、大槻は「一次および二次治療における最優良総合効果はSDであり、三次治療は奏効せず病勢進行を認めた」と返答しました。

大槻は、「免疫チェックポイント阻害剤の抗PD-1抗体(ニボルマブ)に関する演題が多かった。どのような症例に奏効するのか不明な点が多い領域であるため、同じ抗PD-1抗体であるペンブロリズマブを含め免疫チェックポイント阻害薬について色々と勉強する必要性を感じた」と感想を述べました。

三沢部長は、本支部会において「内科1」と自身が座長を担当した「内科2」の口演発表を中心に聴講し、次のように感想を述べました。「ニボルマブによる稀な免疫起因性有害事象例や著効例の演題で多くが占められており、腫瘍免疫に対する専門医の関心の高さが伺えた。また、通常は治療困難である肺癌の癌性髄膜症や通常は標的治療の対象になるEGFR変異陽性肺癌にも著効例が存在することを認識できて有意義であった。今後も様々な免疫チェックポイント阻害剤の登場が予想され、肺癌診療体系において腫瘍免疫が一つの基軸を形成していくことは間違いないと思われる。よって、これら薬剤の効果予測因子において多くの医学的知見が発見され、この分野においても個別化治療が実現されることを期待したい」

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このサイトの監修者

亀田総合病院
呼吸器内科部長 中島 啓

【専門分野】
呼吸器疾患