感染症学会 中日本/西日本 地方会に参加! その1

11月24日〜26日の期間に行われた、第86回日本感染症学会西日本地方会学術集会、第59回日本感染症学会中日本地方会学術集会、第64回日本化学療法学会西日本支部総会(合同開催)で、主任部長青島、医長中島、根本、胡谷が発表しました。

今回はその1として、青島の発表を報告します。

青島は、「慢性疾患を有する日本人成人における肺炎球菌性疾患発症リスク」を発表し、下記の内容を述べました。

「日本人成人における慢性疾患の有無による侵襲性肺炎球菌性肺炎(IPD)及び肺炎球菌性肺炎(PP)の発症リスクを検討するため、Medical Data Vision(MDV;急性期病院の診療報酬請求データベース)及び日本医療データセンター(JMDC;医療保険の診療報酬請求データベース)を用いてレトロスペクティブコホート観察研究を実施した。

合計1040万人分(929万人・年)の解析結果から、19歳以上の慢性疾患を有する日本人成人のPP及びIPDの発症リスクは、慢性疾患の無い19歳以上の日本人成人に比較して高かった。

PPの発症率比(rate ratio)は、JMDC及びMDVでそれぞれ、慢性心疾患が2.6/7.1、慢性肺疾患が5.2/10.8、糖尿病が1.9/5.7、慢性肝疾患が2.1/3.3、慢性腎障害が2.6/13.4、悪性腫瘍が1.7/11.2であった。IPDのrate ratioは、JMDC及びMDVでそれぞれ、慢性心疾患が4.7/15.7、慢性肺疾患が7.1/16.4、糖尿病が4.4/12.6、慢性肝疾患が4.7/13.0、慢性腎障害が4.7/25.2、悪性腫瘍が4.4/43.3であった。

慢性疾患を有する日本人成人のIPD及びPP発症リスクは、慢性疾患のない日本人成人に比較して高かった。」

会場からは、「肺炎球菌ワクチンの接種歴に関する情報はありますか?」と質問があり、青島は「今回、レセプト情報を用いて匿名化されて他の情報との連結ができないデータを用いており、肺炎球菌ワクチン接種歴についての情報は得られていない。」と返答しました。

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このサイトの監修者

亀田総合病院
呼吸器内科部長 中島 啓

【専門分野】
呼吸器疾患