米国感染症学会年次総会 ID week 2016で医長中島が発表

アメリカのニューオーリンズで2016年10/26-10/30に開催された米国感染症学会 (Infectious Disease Society of America: IDSA)の年次総会(ID week 2016)で医長中島が、発表しました。

2015/2016シーズンに亀田総合病院で行った「23価型肺炎球菌ワクチンと4価インフルエンザワクチンの同時接種と逐次接種の免疫原性を比較する無作為化オープンラベル非劣性試験」(呼吸器内科・総合内科・感染症科・臨床検査部・看護部の共同研究)の中間解析結果です。
Clinicaltrials.gov (https://clinicaltrials.gov/show/NCT02592486)

中島は、下記の結果を述べました。
「主要評価項目である血清型23Fの抗体応答割合の同時群と逐次群の差(同時群ー逐次群)は0.1%(90%CI-10.8%-11.1%)であり、同時群の逐次群に対する非劣性が示された。血清型23F,3, 4, 6B, 14, 19Aにおけるワクチン接種1ヶ月後の幾何平均抗体価は、同時群と逐次群において有意差を認めなかった。インフルエンザH1N1, H3N2, B Phuketにおいて抗体保有割合は同時群と逐次群において有意差を認めなかった。全身性副反応と局所性反応は同時群と逐次群において有意差を認めなかった。23価肺炎球菌ワクチンと4価インフルエンザワクチンの同時接種は逐次接種と比較して有害事象を増やさず許容される免疫原性を示した。」

そして、最後に結論として、「ワクチン接種率を上げる方法として、肺炎球菌ワクチンとインフルエンザワクチンの同時接種は有効な戦略になると考えられる」と述べました。

欧米と比べて日本は両者のワクチン接種率がまだ低いので、本研究が、本邦のワクチン接種率を向上する一助になれば良いなと考えております。

中島はID week 2016の感想として、「オーラルは、国際的な多施設研究の結果が多く、ポスター発表でも、いずれは論文になりそうなものが多く、勉強になりました。NEJMで市中肺炎の総説を書いているDaniel Musher医師の講演では、ガイドラインには書いていない本音を聞くことができ、次の臨床研究へのアイデアを得ることができました。」と述べました。

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このサイトの監修者

亀田総合病院
呼吸器内科部長 中島 啓

【専門分野】
呼吸器疾患