第56回日本呼吸器学会学術講演会 その7 主任部長青島が座長にて、シンポジウム13 「RCT・メガトライアルのリアルワールドとの乖離」を開催

第56回日本呼吸器学会学術講演会(4月8日〜4月10日)が京都国際会議場で開催されました。

当科からは、ポスター発表6題、ミニシンポジウム1題、症例検討会1題、シンポジウム1題、Year Review1題の合計10演題を発表しました。

本稿では、臨床諸問題学術部会長である当科主任部長青島と、公立陶生病院呼吸器・アレルギー疾患内科 近藤康博先生が座長を務めたシンポジウム13「RCT・メガトライアルのリアルワールドとの乖離」について、当科部長金子の発表を主体に報告します。


今回のシンポジウムでは、領域横断的に呼吸器の代表的な6つの疾患を取り上げ、それぞれに対して行われてきたRCT・メガトライアルのエントリー基準をお示し頂きました。

そして、そのエントリー基準に該当する患者ポピュレーションが、実臨床(リアルワールド)で見る患者ポピュレーションの何割程度に相当するのかといった疫学的な面から、これらから外れる本来デビデンスが存在しない部分の患者ポピュレーションに関して、リアルワールドでの診療の実態、問題点、および、将来展望などについてお話し頂きました。


それぞれの領域で指導的な立場にある、次の先生方が講演されました。

<特発性肺線維症>
公立陶生病院呼吸器・アレルギー疾患内科 近藤康博先生

<COPDのRCT・メガトライアルはreal worldをどの程度反映しているのか?>
亀田総合病院 呼吸器内科 亀田京橋クリニック 金子教宏先生

<重症肺炎>
公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院呼吸器内科 石田直先生

<RCT・メガトライアルとリアルワールドの乖離 肺高血圧症>
北海道大学病態内科学講座:辻野一三先生

<肺癌薬物治療におけるRCT・メガトライアルとリアルワールドの乖離>
国立がん研究センター中央病院呼吸器内科:大江裕一郎先生

<気管支喘息>
公立福祉法人同愛記念病院アレルギー呼吸器科:黨康夫先生


当科金子は、「COPDのRCT・メガトライアルはreal worldをどの程度判定しているのか?」の中で、「当院通院中のCOPD患者284名のうち、多くの開発治験(RCT)の基準に当てはまる項目について、エントリー基準を満たす患者はわずか37名(13%)であった。RCTは厳格なプロトコールに従い、信頼性の高いデータが得られる。しかし、RCTにも多くのlimitationがあることを理解し、より臨床の現場に近い臨床研究を行う必要がある。」と結論を述べました。


呼吸器の各領域で、指導的立場で活躍されている先生方の実臨床に基づくお話しを聞くことができ、大変勉強になりました。


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このサイトの監修者

亀田総合病院
呼吸器内科部長 中島 啓

【専門分野】
呼吸器疾患