第56回日本呼吸器学会学術講演会 その6 主任部長青島がYear Review in Assembly 7で講演

第56回日本呼吸器学会学術講演会(4月8日〜4月10日)が京都国際会議場で開催されました。

当科からは、ポスター発表6題、ミニシンポジウム1題、症例検討会1題、シンポジウム1題、Year Review1題の合計10演題を発表しました。

本稿では、臨床諸問題学術部会長である当科の主任部長の青島がYear Review in Assembly 7で講演した内容について報告します。


臨床諸問題学術部会は、「臨床疫学、喫煙などの広範なまた萌芽的臨床諸問題」を取り扱う部会で、呼吸器内視鏡、画像診断、環境・職業関連問題、臨床疫学、喫煙、肺移植から地域医療、さらには若手医師へ向けた臨床教育など極めて広範な領域で活動を行っています。

今回、青島は、呼吸器内視鏡、禁煙、環境・職業関連呼吸器疾患の3領域に絞り、Year Review in Assemblyを行いました。


呼吸器内視鏡については3編の論文を紹介しました。最初に「葉間側副気管支のない肺気腫に対する気管支閉塞用バルブ治療」(N Engl J Med 2015;373:2325-35)を示し、「気管支閉塞用バルブ治療は、重症肺気腫患者の肺機能と運動耐容能が優位に改善させた。しかし、同時に気胸などの有害事象も認めた。」という内容を述べました。

本邦から発表された「極細径気管支鏡による肺末梢病変の診断:無作為化比較試験」(Am J Respir Crit Care Med 2015;192:468-76)も紹介し、「3mmの極細気管支鏡は、長径30mm以下の肺末梢病変に対して、従来の4mmのガイドシース併用超音波気管支鏡よりも、高い診断率を示した。」という内容を述べました。


次に、青島は、禁煙領域において6個の文献を紹介し、「電子たばこ(Electric cigarettes: E-cigarettes)が、禁煙の補助、タバコの代替を目的として、英国や米国などで導入されている。しかし、まだ、E-cigarettesの禁煙効果に関する明確なエビデンスはなく(Lancet. 2013;382:1629-37)、早期にE-cigarettesを使うことが、かえって喫煙者の増加につながることも危惧されている(chest 2015;148:580-582)。」と述べました。


最後に。環境・職業関連呼吸器疾患に関しては、4個の文献を紹介し、「PM2.5暴露により、COPDの入院頻度・死亡率の増加(Chest 2016;149:447-58)や、肺癌増加(Environ Health Perspect 2014;122:906-11)が報告されている。また、大気の質と小児期の呼吸機能の発達との関連を調べた研究(N Engl J Med. 2015;372:905-13)では、大気の質の改善に伴い、有意な呼吸機能の改善を認めた。」と解説しました。


聴講に参加した医局員の中島は、「広範な領域の中から、3つの領域について、最新の重要文献が紹介された。自分たちが普段精力的に取り組んでいる呼吸器内視鏡の話から、E-cigarettesやPM2.5の話など新鮮な話題も知ることができ、大変勉強になった。」と感想を述べていました。


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このサイトの監修者

亀田総合病院
呼吸器内科部長 中島 啓

【専門分野】
呼吸器疾患