田中明彦先生を亀田総合病院にお招きして、特別講演会を開催!

2025年7月2日、昭和医科大学医学部内科学講座呼吸器アレルギー内科 教授 田中明彦先生を亀田総合病院にお招きし、「知っておくと得する最新の喘息診療~重症喘息に対するアプローチとピットフォール~」と題した特別講演会を開催させていただきました。

田中先生は喘息診療実践ガイドライン(PGAM2024)の作成、改訂に深く携わっておられ、喘息予防・管理ガイドライン2024(JGL2024)やGlobal Strategy for Asthma Management and Prevention2024 update(GINA2024)との違いや、今後のガイドライン改訂の方向性から、喘息の歴史、基本病態の変遷、喘息診断の重要性、吸入薬、生物学的製剤の使い方まで幅広く講演いただきました。

特に、診断学の重要性と、Treatable traitsや難治性病態としてのDysfunctional breathingを意識することの重要性、高用量ステロイド薬の弊害について強調いただき下記について理解を深めることができました。

  1. 診断基準がない気管支喘息の診療において、喘息治療の効果が不十分な場合は診断が正しいかどうかを常に考える必要があること
  2. 診断に際しては、喘鳴の有無や、好酸球、IgE、特異的IgE抗体、FeNO、呼吸機能を確認し、治療的診断として、治療効果の程度と再現性、治療中止後の変化を追うことが重要であること
  3. Treatable Traitsについて、直接的介入が可能なものとして、外的因子には、喫煙、ペット、大気汚染、アドヒアランス、特異的な喘息症状誘発因子、合併症には好酸球性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、肥満、OSAS、COPD、不安/抑うつがあり、間接的な介入を行うものとして、咳嗽、喀痰、息切れ、鼻水、鼻閉といった症状や好酸球、FeNO、呼吸機能などのバイオマーカーがあること
  4. 喘息難治化の病態として、Dysfunctional breathing(胸部圧迫感,呼吸困難感,過呼吸などを呈する呼吸パターン異常の病態)があり、留意しておくこと
  5. Step 4の維持治療においても、高用量ICSは推奨されず、使用する際には、3~6ヶ月の使用に留める方がよいのではないかという流れになってきていること

質疑応答の時間には、若手から中堅まで、生物学的製剤の使い分けや、投与開始・終了のタイミング、喀痰好酸球と末梢血好酸球の解釈などについて率直な意見交換を行うことができました。
お忙しい中鴨川までお越しいただき、誠にありがとうございました。

現在、昭和医科大学医学部内科学講座呼吸器アレルギー内科からは毎年専攻医の先生に研修に来て頂いており、皆、講座での経験を生かして当科でも活躍してくれています。今後も交流を続けさせていただきたいと思います。

*講演会で撮影した写真です

このサイトの監修者

亀田総合病院
呼吸器内科部長 中島 啓

【専門分野】
呼吸器疾患