臨床研究の推進には臨床メンターと統計の2名による教育体制が必要

カテゴリー:臨床研究,医学教育
対象:後期研修医,指導医

所属グループで臨床研究を推進していくためには、臨床メンター統計メンターの2名での指導体制が理想的だと考えています。 亀田総合病院呼吸器内科の場合は、臨床メンターが私を中心とするスタッフが担当し、統計メンターは臨床研究支援室の先生が担当して下さっています。 臨床メンターは、診療科の指導医の資格を有し、前向き研究の研究責任者の経験があり、研究デザイン、統計、解析、データの解釈など臨床研究全般の知識を有する医師が望ましいと考えています。 また臨床研究は時代の変化があること、執筆の感覚維持のためにも、指導も含めて年間3本以上の論文をアクティブに執筆している医師が望ましいと考えられます。 統計メンターは、臨床疫学を専門とし、様々なグループの臨床研究にデザインや統計で参画されている先生が理想です。 亀田総合病院呼吸器内科の場合は、臨床研究支援室の先生からの密接な指導体制を3年前に構築させて頂いてからは、研究の質が大きく向上しました。 その結果は、学会の採択数などにも如実に現れており、呼吸器学会のミニシンポジウム採択数は、昨年度まで最多で2題でしたが、2023年度はミニシンポジウム採択7題、ポスター3題となっています。これはひとえに臨床研究支援室の先生のおかげです。 日本でも臨床疫学者の先生方がもっと増えていくと、臨床研究がより活発になると考えております。 我々の今後の課題は、中堅層の育成です。当科では専攻医2年目の医師から臨床研究を開始し、専攻医3年目(医師5年目)で、呼吸器総会と国際学会で発表することを目標としています。 よって、専攻医2年目の先生の研究には、その上の層(医師6年目~10年目)がペアで参画し、その上に臨床メンターと統計メンターが指導に入る屋根瓦体制の研究指導体制の構築を進めています。 そして、今後の目標としては、多施設研究を増やしていくことだと考えております。
そのためには、他院の先生方から信頼いただけるよう単施設での実績を引き続き増やしていきたいと思います。 最後に、研究の話を今回してきましたが、市中の教育病院で働く私達の優先順位は、あくまで第1に臨床、2番目に教育、3番目が研究と考えています。 そもそも、臨床研究を行う最大の目的は患者さまに良き医療を届けることです。
そして患者さまのためにベストを尽くす最前線の臨床の中からこそ、優れた臨床疑問(クリニカルクエスチョン)は生まれます。 引き続き、当科では、臨床、教育、研究の推進に取り組んでいきたいと思います。

このサイトの監修者

亀田総合病院
呼吸器内科部長 中島 啓

【専門分野】
呼吸器疾患