気管支鏡による光診断:自家蛍光気管支鏡(Auto-Fluorescence Bronchoscopy: AFB)

・亀田総合病院・呼吸器内科では、気管支ファイバーOLYMPUS BF TYPE F260を用いて自家蛍光内視鏡(Auto-Fluorescence Bronchoscopy: AFB)による癌の光診断を行っています。

・AFBにより、通常の白色光を用いた気管支鏡では発見の難しい気管支粘膜病巣を発見することが可能となり、さらに、その病巣範囲の認識も容易になります。

・当科はPDT(Photodynamic Therapy; 光線力学的療法)を2014年10月に導入しました。PDT施行にあたってはAFBによる詳細な観察が必要不可欠であり、治療範囲の決定にも有用です。

*OLYMPUS BF TYPE F260を用いたAFBは、特にAFI(Auto-Fluorescence Imaging Bronchovideoscope system)と呼ばれる。

概要

・自家蛍光気管支鏡は、気管支粘膜を自家蛍光の強度差を利用して観察することで、正常及び異常部位を認識区別することが可能である。

・青色波長領域の励起光を気管支粘膜の正常部に照射すると、緑色波長領域の自家蛍光を発するが、癌病巣においてはこの波長の自家蛍光強度は極端に低下している。

・自家蛍光を発する部位(正常部)と欠損部(病変部)のコントラストを増幅することにより、通常の白色光では認識困難な微細病変を発見するのが本検査法の原理である。
(Lung cancer. 2007:56:295-302)

・当科使用OLYMPUS BF TYPE F260によるAFIでは、正常気管支粘膜は緑色になり、癌病巣は紫色になる。

適応

 ●中枢気管支粘膜の異常が疑われる症例

 ●喀痰細胞診検査の異常を指摘された症例

 ●中心型肺癌の治療方針決定など
(浅野文祐 編著 気管支鏡ベストテクニック 2012年 中外医学社 東京)

検査方法

・OLYMPUS BF TYPE F260の白色光で観察し、その後にAFIモードに切り替えて自家蛍光観察を行う。

・白色光観察で粘膜異常が疑われ、かつ自家蛍光の減弱部位を生検する。その際、AFIのみで認識可能な微小病変は、白色光下での生検は確実な検体採取が出来ない可能性があるため、AFIモードを使用しピンポイントに生検する。

(当科でAFIを施行した症例の内視鏡画像:病変部分が紫色を呈している)
気管支鏡による光診断:自家蛍光気管支鏡(Auto-Fluorescence Bronchoscopy: AFB)

注意点

・本診断法は、気管支粘膜組織の肥厚や血流増加などによる自家蛍光の減弱部位を観察しているのであって、腫瘍特有の変化を直接的に感知しているわけではない。

・よって、炎症性病変で血流の増加や粘膜肥厚所見などが認められる場合にも、自家蛍光画像では「異常」として認識されることがあるため注意が必要である。

参考文献

・浅野文祐 編著 気管支鏡ベストテクニック 2012年 中外医学社 東京

このサイトの監修者

亀田総合病院
呼吸器内科部長 中島 啓

【専門分野】
呼吸器疾患