第55回 日本呼吸器学会学術講演会 その3 桂田医師と鈴木医師の発表

4月17日〜4月19日に開催された第55回 日本呼吸器学会学術講演会にて、亀田総合病院、呼吸器内科が発表した内容に関して、本稿では、桂田医師と鈴木医師の発表を報告します。


150512img1.png


桂田は「不全型膠原病肺に関する後方視的検討」を発表し、「UCTDの基準を満たさない特発性間質性肺炎・UCTD・膠原病関連肺疾患との間に呼吸機能予後、生存率に明らかな有意差を認めず、UCTDと診断することの有用性について、議論が必要である。」と結論しました。

会場からは、「Corteの基準で症例数が限定された理由はなにか?」と質問があり、桂田は「最も限定された理由は抗核抗体が高力価であったからである。しかし、原著論文では定義が3+としか書いておらず、日本で一般的に使用されている定量法での記載がなく、一般的に高力価とされている160倍をカットオフ値としたが、諸施設におけるカットオフ値を伺いたい。」と答えました。

会場の先生は、「一般的に160倍でよいと思われる。LD-CTDでは640倍でカットオフをされており、やはり、カットオフ値に関しては有用な値は示されておらず、今後の課題である。」と意見されました。


鈴木は「喀血患者における気管支動脈塞栓術(BAE)に至る予測因子の検討」を発表し、「喀血患者の単純CTで出血を表す吸い込み像を認める場合にBAEに至る可能性が有意に高かった。造影CTによる血管同定を必要とせず評価できるため救急における初期対応で有用と考えられる。」と結論を述べました。

会場からは、「吸い込み像を認めるとBAEに至るという関連についてどのように考えられるか?」と質問があり、鈴木は「従来の異常血管を同定しBAEに至る流れは治療方法から理解可能なものであった。吸い込み像に関しては、第一に吸い込み像を認める場合は認めない場合と比較し出血量が多いと考えられる。さらに吸い込み像を両側で認める場合より、片側で認める場合に有意にBAEに至ったことから、限局した吸い込み像は同定可能な異常血管の破綻による喀血を示しており、BAEに至る可能性が高いと推測される。以上の点から非専門医における初期対応においてはスクリーニングとして有用になると考えられる。」と答えました。

次項では、山脇医師の発表について報告致します。


150512img2.png

このサイトの監修者

亀田総合病院
呼吸器内科部長 中島 啓

【専門分野】
呼吸器疾患