プレドニゾロン20mgを1ヶ月以上投与する場合はニューモシスチス肺炎予防を考慮する

ニューモシスチス肺炎(Pneumocystis jirovecii pneumonia:PCP)は、ニューモシスチス・イロヴェチ(Pneumocystis jirovecii)によって引き起こされる肺炎です。

当初は1980年代にHIV患者において頻度の高い肺合併症として認められましたが、ST合剤などによるPCP予防が確立されたため、HIV患者においては減少しております。

対照的に、非HIV患者におけるPCP(非HIV-PCP)が増加し、問題となっております。

(非HIVニューモシスチス肺炎の胸部CT所見)
非HIVニューモシスチス肺炎の胸部CT所見


血液疾患においても、近年は、PCP予防が確立されたため減少しましたが、化学療法中の固形癌患者や、膠原病の患者、その他、免疫抑制剤使用中の良性疾患の患者において、PCPは増加しております。

しかも、非HIV-PCPは、HIV-PCPと比較すると、進行が急速で重症化し、致死率が高いと報告されています。
(J Infect Chemother (2012) 18:793-806)

非HIV-PCPに関するPCP予防については、1つの基準として、プレドニゾロン換算20mgのステロイドを1ヶ月以上内服する場合は、PCP予防を考慮すべきであると考えられています。
(Am J Respir Crit Care Med. 2011 Jan 1;183(1):96-128.)


PCP予防の推奨薬はST合剤 1錠/日(もしくは2錠×3回/週)になります。
(日本感染症学会 編 感染症専門医テキスト 南江堂 2011年東京)

また代替薬としては、ダプソン 100mg/日、ペンタミジン吸入 300mg 1〜2回/月、アトバコン 1500mg/日も使用可能です。

ただし、アトバコンは高価であるため、現実的には、予防薬としての使用は難しいかもしれません。


プレドニン換算20mgのステロイドを1ヶ月以上投与する場合は、PCP予防を考慮するのが大切です。

このサイトの監修者

亀田総合病院
呼吸器内科部長 中島 啓

【専門分野】
呼吸器疾患