呼吸器感染症ワクチン研究会2015で青島主任部長が講演

2015年6月27日に東京で開催された呼吸器感染症ワクチン研究会2015 一般演題(座長 渡邊彰先生、永井英明先生)で、亀田総合病院 呼吸器内科 青島主任部長が講演を行いました。

青島主任部長は、「肺炎球菌ワクチンの接種に対する当院の取り組み」について講演しました。

青島主任部長は、次の結論を述べました。

「亀田総合病院では、肺炎球菌ワクチン接種について、呼吸器内科を含む様々な診療科で医師への教育が行われている。例えば、総合診療科のヘルスメンテナンスに関する講義や、感染症科と血液内科の合同カンファレンスなどで、肺炎球菌ワクチン接種に関して教育が行われていた。」

「もともと当院では肺炎球菌ワクチン接種が積極的に行われていたこともあり、定期接種化後も、当院における2014年度のワクチン接種数は2013年度と変わりはなかった。しかし、安房鴨川地域全体で見ると、地域のクリニックなどにおける接種者は増えており、安房鴨川地域全体では増加していた。」

「また、当科で行った誤嚥性肺炎患者における肺炎球菌保菌の意義に関する研究では、院外発症の誤嚥性肺炎患者を前向きに調査したところ、肺炎球菌の鼻咽頭への保菌率は13%であり、肺炎球菌保菌のあった肺炎患者全例が肺炎球菌を起炎菌としていた。誤嚥リスクのある患者においては、肺炎球菌ワクチンの接種が推奨されると考えられる。」

「今後の課題として、(1)肺炎球菌ワクチン接種の伸びが肺炎やIPDの減少につながっているのかの検証、(2)免疫不全者に対するPCV13の接種のあり方についても取り組んでいくことが必要である。」


会場からは、「亀田総合病院は在宅診療部もあったと思われるが、在宅医療部においてもワクチン接種を行っているのか?」と質問がありました。

青島主任部長は、「今回、接種医師の所属の詳細な検討は行っていない。ただし、在宅診療科が関わっている患者でも、今回紹介した他の診療科が関わって接種している場合もあると思われる。」と返答しました。


特別講演では、オーストラリアより来日されたRobert Booy先生が、オーストラリアにおける肺炎球菌ワクチン接種の状況について話され、埼玉医科大学呼吸器内科教授 金澤實先生が日本における肺炎予防の展望について講演され、大変勉強になりました。


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このサイトの監修者

亀田総合病院
呼吸器内科部長 中島 啓

【専門分野】
呼吸器疾患