脳血管内治療とは

"脳血管内手術は脳卒中治療の中心的存在"

脳の血管がつまったり、破れたりする恐ろしい脳卒中に対する治療の一つで、具体的には大腿動脈という足の付け根にある動脈や、上腕、前腕などの腕の動脈から2〜3mmの太さのしなやかなカテーテルを挿入し、大動脈、頚動脈を経由して脳血管に到達させ、そのカテーテル内にさらに細く柔軟なマイクロカテーテルを挿入し、患部を治療する方法です。
動脈や静脈などの血管の中で繊細なガイドワイヤーやプラチナ製のコイル、ときにステントなどを使用して、微細な手術を行うことから、脳血管内手術あるいは脳血管内外科などとも呼ばれます。 この脳血管内手術は、血管の走行を映し出すX線による血管撮影装置、IT技術による高精細な画像処理、極細のマイクロカテーテルやガイドワイヤー、微細な加工技術と複合素材により製造される頭蓋内ステントやプラチナ製のコイル、脳出血の原因となる病変を閉塞させるのに有効な液体塞栓物資など高度な医用材料の発達と多くの先端技術の集積によりはじめて可能となった治療法です。

従来は脳動脈瘤の治療には、開頭クリッピング術として、頭皮を切開し、頭蓋骨の一部を外し、さらに硬膜という脳を保護している硬い膜を切開し、前頭葉や側頭葉の隙間から瘤を露出させて、クリップをかけるという手術が行われてきました。 しかしこの開頭手術は手術時間も長く、また術後の感染症や脳脊髄液が皮下に漏れ出すなどの合併症を伴うことがあり、高齢者には負担の大きい手術でありました。
一方脳血管内手術は未破裂脳動脈瘤であれば平均在院日数4〜5日と短期間であり、身体的な負担の小さな治療としてここ数年注目を集めております。 また高齢者に多い不整脈の一種である心房細動では、左心房内に血栓が生じ、この血栓が血流により脳へ移動し、結果として脳動脈を閉塞させて、脳への血流が突然途絶えるタイプの脳梗塞が、寝たきりの原因として社会問題になっています。この心臓で発生した血栓が脳動脈を詰まらせると突然の運動麻痺、失語、意識障害等を引き起こし、致死率は15〜20%, 生存できたとしても重度の後遺症が残り、寝たきりとなることの多い脳卒中です。
近年こうした脳梗塞では、カテーテルによる血栓回収療法という治療が極めて有効であることが証明され、現在全世界に普及しつつあります。具体的には、患者さんを発症早期に病院に搬送し、カテーテルを用いて血栓を回収すれば、血栓を溶かす静脈注射による内科的治療よりもずっと高率に患者さんを社会復帰させる治療であることがわかっているのです。

心房細動は健康な人にも起こることが多く、原因を特定できないケースもあります。日本には、心房細動のある人が100万人以上いると考えられており、その原因の1つに加齢が挙げられます。高齢化が進むにつれて、心房細動のある人はますます増えると予想され、結果として上記のタイプの脳梗塞患者も増加しています。

当院では24時間365日この血栓回収療法にも対応しており、脳神経血管内治療学会の指導医および専門医、脳神経内科専門医、救命救急専門医、脳神経外科専門医そしてリハビリテーションのスタッフからなるチームで脳卒中患者さんを受け入れております。

脳血管内治療科 門岡 慶介

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このサイトの監修者

亀田総合病院
脳血管内治療科主任部長 田中 美千裕

【専門分野】
脳卒中の外科治療、脳血管内手術、脳機能解剖学、脳循環代謝学、脳動脈瘤に対する血管内手術、頚動脈ステント術、脳血管奇形、脳動静脈奇形、脊髄血管奇形、顎顔面血管腫