抄読会

先月は研修医1年目の河合先生にローテートして頂き、NEJMのcase records of the Massachusetts General Hospitalの下記論文を読んで頂きました。
急性腎不全でANCA関連血管炎に対して、ステロイド、リツキシマブ、血漿交換療法を施行し、寛解後の発熱、呼吸不全をきたし、免疫不全における呼吸不全の鑑別に焦点が当てられておりました。最終的には、好酸球増加症、口腔内潰瘍、数ヶ月前の旅行歴から風土病であるコクシジオイデス症を疑い、気管支肺胞洗浄で診断となりました。
コクシジオイデスは真菌症ではあるが、コクシジオイデス症(coccidioidomycosis )の極めて高い病原性を示し、特にC. immitisの病原性はペスト菌に相当し、本邦では4 類感染症全数把握疾患に指定された唯一の真菌症であります。米国西南部、メキシコ西部、アルゼンチンのパンパ地域、ベネズエラのファルコン州の半乾燥地域の風土病です。肺に感染を起こし、約0.5%の患者は全身感染に波及し、その半数が致死的となる。
治療は、アゾール系抗真菌か、アンホテリシンBが選択されます。
個人的には、この感染症が契機にANCA関連血管炎が発症していないかは気になりました。珍しい病気で、勉強になりました。河合先生、ありがとうございました。

Case 2-2020: A 64-Year-Old Man with Fever and Respiratory Failure
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMcpc1913468

このサイトの監修者

亀田総合病院
腎臓高血圧内科部長 鈴木 智

【専門分野】
腎疾患全般、特に腎炎、腎病理