抄読会

4月は初期研修医1年目の栗田先生にローテートして頂き、Kidney Internationalの"Renal histopathological analysis of 26 postmortem findings of patients with COVID-19 in China"を読んで頂きました。
COVID19患者様の剖検26例で腎臓組織学的特徴を分析した論文です。COVID19患者様に腎障害の報告がでておりますが、組織学的な評価はできないのが現状です。そのため、剖検でどうなっているかを確認することは重要です。

光顕所見は、尿細管上皮の空胞変性、間質に炎症細胞や一部では弓状動脈に菌塊、炎症細胞の浸潤を認めました。また糸球体は、一部でfibrin血栓を認めました。また電子顕微鏡では、ポドサイトや尿細管上皮細胞にvirus particlesを確認しました。免疫染色は、PTCにCD235陽性、CD31陽性、CD61陰性の血栓を認め、TMAなどではなく、血小板血栓でないことを示唆します。COVID19の受容体の1つと考えられているACE-2の染色で近位尿細管、ポドサイト、ボーマンのう上皮細胞に陽性となりました。抗SARSーCoV核タンパク質抗体による免疫蛍光染色でも陽性細胞を確認しました。
今回の論文では、COVID19感染による直接の腎障害や他の臓器でも示唆されている内皮細胞障害の可能性を示唆する結果となりました。1年目の最初から難しくhotな内容を読んで頂きました。栗田先生ありがとうございました。

DOI: https://doi.org/10.1016/j.kint.2020.04.003

このサイトの監修者

亀田総合病院
腎臓高血圧内科部長 鈴木 智

【専門分野】
腎疾患全般、特に腎炎、腎病理