抄読会

本日は、医局員の井上先生に今年のJASNに掲載された下記論文を読んで頂きました。
Transfusion Requirements in Cardiac Surgery-III trial
非盲検・無作為化・非劣性試験のsub解析の論文です。
周術期死亡リスクが中等度から高度と推定される患者が対象。(EuroSCORE6以上)
CQ 心肺バイパスによる心臓手術を受けた成人に対して、赤血球輸血の基準を制限することはできるのか?

P 心臓血管手術を受けた患者様。
E 制限的アプローチ(Hb<7.5g/dlで輸血)
C リベラルアプローチ (Hb<9.5g/dlの場合に輸血
 非ICU病棟ではHb<8.5 g/dlの場合に輸血)
O 術後AKI、死亡率

結論は、AKIのリスクは赤血球輸血に対する制限的アプローチとリベラルアプローチで差はなく、またCKDがある患者でも差はなかったです。
貧血だけでなく、輸血自体もAKIのリスクと報告されており、必要以上に輸血をすることにメリットはないと考えられました。
これまでの我々のストラテジーと大きく変わりはないですが、非常に勉強になりました。ありがとうございました。

Safety of a Restrictive versus Liberal Approach to Red Blood Cell Transfusion on the Outcome of AKI in Patients Undergoing Cardiac Surgery: A Randomized Clinical Trial

このサイトの監修者

亀田総合病院
腎臓高血圧内科部長 鈴木 智

【専門分野】
腎疾患全般、特に腎炎、腎病理