血液腫瘍内科との腎病理カンファレンス

本日は、血液腫瘍内科と腎病理カンファレンスを行いました。

当院の血液腫瘍内科部長の末永先生は、日本でfree light chain assayの保険適応が通る前から当院で測定をしていたように、MGRS(monoclonal gammopathy of renal significance)に対して、積極的に診断、治療をしてくださっている素晴らしい先生です。
1例目は、IgA kappa 骨髄腫の腎障害の症例で、光顕では糸球体沈着症の診断で、IFではIgAはdetectされましたが、kappa、lambdaは陰性で、heavy chain deposition disease疑いとなりました。しかし、IFの感度は低いため、質量分析しないと沈着物の中身がわからないため、今後質量分析を検討しています。
2例目は、IgG lambda骨髄腫の急性腎障害の症例で、free light chain の量はそこまで多くないのですが、大量のγ-globulin優位の蛋白尿を認めたため、腎生検を施行。治療day8の腎生検とはいえ、尿細管障害は軽微で、cast nephropathyも骨髄腫の腎浸潤も認めなかったです。腎障害の改善も早く、組織像とも一致しました。多発性骨髄腫による急性腎障害は腎生検をしないことが多いですが、組織像は考えているより多岐に渡ります。現時点では治療方針が変わることは少ないかもしれませんが、予後は異なるため、腎生検の意味はある考えます。

本日は非常に白熱したdiscussionとなりました。今後も1-2ヶ月に1回の頻度で、定期的に血液腫瘍内科と腎臓高血圧内科でカンファレンスをしていければ嬉しいです。

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このサイトの監修者

亀田総合病院
腎臓高血圧内科部長 鈴木 智

【専門分野】
腎疾患全般、特に腎炎、腎病理