collaboration と integration

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複数の健康問題を抱える患者に統合されたケアを実践した症例

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○進行性神経難病の患者さんについて。歯が痛くて総合病院に入院し、ドパミン作動薬が原因として中止となった。以降、経口摂取は不能となった。
食事への想いが強い。こだわりもある。自宅で過ごしたい本人から「施設に入った方がいいんじゃないか、、」と弱気なコメントもあった。
そこで、情報共有カンファレンスを開催し、グループ診療の医師、施設内の訪問看護師、訪問リハビリ、ケアマネージャー、訪問栄養士、他施設の訪問看護などが集まった。
今後、本人の食べたいという思いにどう寄り添い、経口摂取をするのかどうか、話し合った。

このカンファレンスの中で、多職種連携の実践(Inter-Professional Work:IPW)を意識した。
WHO は2010年に多職種連携教育(IPE:Inter-Professional Education)のフレームワークを提唱しており、学問として扱っているところもある。
日本の多職種連携は、地域包括ケアシステムが中心的役割を持つ。
"統合的ケア"とは何なのか。
統合の方向性として、水平統合(例:医師、看護師、CM、保健師、ヘルパー)、垂直統合(例:総合医、病棟総合医、専門医)がある。家庭医は、扇のつなぎ目、ヒンジ部の役割があると感じた。

Leutzのいう、組織としてのintegrationのレベルは、
fragmentation、linkage、coordination、integrationの4段階。
お互い紹介し合うのはlinkageだが、
顔の見える会議などの実践はcoordinationに該当する。

next step :
linkageから、coordinationに。
家族の垂直統合 家族カンファを開く。
ディスカッションでは、「本人の健康観」が話題に。
・本人の全体像の把握のため、これまでのライフレビューを行っても良いかもしれない。
・規範的統合は、価値観の共有でも良い。
・日常的には、職種間を一対一でしか繋げていない。
などの視点が共有された。
ケアマネにも情報収集してみて、情報の集約が可能かどうか、統合的にマネージメントしていくことが可能か模索することとなった。

やはり重要なのは、「対話ですね」

このサイトの監修者

亀田ファミリークリニック館山
院長 岡田 唯男

【専門分野】
家庭医療学、公衆衛生学、指導医養成、マタニティケア、慢性疾患、健康増進、プライマリケア・スポーツ医学