そして、バトンは渡された

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家族志向のケア

キーワード

家族志向のケア、摂食、ステップファミリー

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本日は当院専攻医2年目の菊地先生のポートフォリオ発表会で、家族志向のケアについてでした。
摂食に問題を抱える子どもが母との親密な関係を築くことで、嘔吐恐怖を乗り越えることができたという症例でした。

考察では、家族構造について深く分析し、夫婦サブシステムが欠如してしまう母子家庭において、菊地先生の外来が一時的な避難所の役割を果たしていたのではないかと気づきました。ステップファミリーの構造や心理的葛藤の特徴を理解することで、今後家族に起こりうることを予測し、今後の対策について考察できており、素晴らしいポートフォリオ発表会でした。タイトルは、まさにステップファミリーを温かく描いた、瀬尾まりこの小説からの引用のようです。
副院長の岩間先生からは、「家族志向のケアはシステムで考えるので、母のみを通して見るのではなく、祖父の役割は何かという視点や、児から見る家族の視点から考えてみるとよいのでは」「この患児が嘔吐をすることで得ていたものが、嘔吐をしなくても得ることができるようになったのではないか。その得たかったものとは何なのかを考察すると良いのではないか」など様々なコメントをいただきました。

参考文献:

  • 摂食障害の家族教室 一家族の心理状態および家族機能との関連一 心身医41:3, 2001. 後藤雅博
  • 摂食障害患者の家族支援 精神保健研究 61: 37- 43, 2015. 小原千郷
  • 「ステップファミリーのきほんをまなぶ」野沢慎司
  • 「家族志向のプライマリ・ケア」 松下 明      他

このサイトの監修者

亀田ファミリークリニック館山
院長 岡田 唯男

【専門分野】
家庭医療学、公衆衛生学、指導医養成、マタニティケア、慢性疾患、健康増進、プライマリケア・スポーツ医学