「あきらめる」

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プロフェッショナリズム

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医療倫理の四分割表 共依存 アルコール依存 harm reduction バイスティックの7原則 ニーバーの祈り

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本日は専攻医3年目西先生のポートフォリオでした。
アルコール多飲、DMでインスリン加療中高齢男性が、アルコール多飲、低栄養による全身性浮腫と体動困難、電解質異常で入退院を繰り返されていました。入院で服薬調整食事コントロールすれば症状は改善しますが、外来管理に戻るとアルコール多飲、食事摂取不良となってまた入院となっていました。ケア会議の中で患者は今の生活スタイルは変えたくなく、家族のサポートが乏しく、その他社会的サポートも受けたくないという思いが判明し、先生が『あきらめ』たことで気持ちが楽になり患者とも陰性感情を持たずに接することができる様になったといいます。

『あきらめる』には、「断念する」という意味の他に、「つまびらかにする、明らかにする」という意味があります。今回の『あきらめ』はどちらになるのか、そして悪化することが分かっていながらあきらめて傍観しているのはプロフェッショナリズムに反しないのかという葛藤がありました。

Discussionでは、妻との関係性が共依存関係になっていないかどうか、妻に働きかけてみる、アルコール依存症の根本治療は難しく、harm reductionの考え方で接すること、ニーバーの祈りについて、バイスティックの7原則についてなどコメント・意見がありました。

このサイトの監修者

亀田ファミリークリニック館山
院長 岡田 唯男

【専門分野】
家庭医療学、公衆衛生学、指導医養成、マタニティケア、慢性疾患、健康増進、プライマリケア・スポーツ医学