春にして君を離れ

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長期的な全人的な関係に基づくケア

キーワード

不確実性 SOC エリクソンの発達課題 longitudinality open dialogue

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後期研修医1年目の菊地先生のポートフォリオでした。
初期研修医1年目から外来で適応障害でフォローされている患者さまでしたが、長い間外来フォローしていく中で、医師ー患者の関係性がcontinuityからlongitudinalityに変化した症例でした。この方と接する中で、医師自身の人間性を問われているような深い部分での関わり合いを感じ、家庭医に近づけてもらっていると感じられたそうです。

患者の苦しみを生涯人間発達論を使ったり、患者の診療満足度をSOCの観点を用いたり、診療の不確実性に耐えられるようになったことを長期的な医師患者関係の視点で考察されていました。

ディスカッションでは、

  • 何気ない視点でも、医師側が想像力を働かせることで、患者のストレス要因に患者自身が気付けたのではないか
  • 患者の家族も同時に診るようになってから、その人を取り巻くコンテキストを知ることができ、性格や傾向を理解しながら医師自身が相手を信じて「大丈夫」と思えたことがgood point
  • 継続性とは、I know the patient well.--- I know the doctor very well.の関係性であり、患者側からの視点も重要である
  • 患者との診察が自然と構造化されていた。これを一般化し、言語化することも大切
  • 関係性に基づく意思決定とは、あなたが決める、決めてあげるではなく、共犯者になって関わること

などが議論されました。

このサイトの監修者

亀田ファミリークリニック館山
院長 岡田 唯男

【専門分野】
家庭医療学、公衆衛生学、指導医養成、マタニティケア、慢性疾患、健康増進、プライマリケア・スポーツ医学