病児保育の運営改善〜実はみんな困っていた〜

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組織運営マネージメント

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FOCUS-PDCA


亀田ファミリークリニック館山では診療所内で病児保育を行っています。朝8時から病児の受け入れにあたり医師が診察を行い、その後、看護師から保育士に診察内容や注意事項の伝達が行われ、17時まで保育を行います。
今回のポートフォリオは専攻医3年目の高岡先生による発表でした。各職種間から挙がった問題点とその関連に焦点をあて、PDCAサイクルを意識してそれらの調整を行ったことが報告されました。

■この症例を選んだ理由
個人の診療における診断や指示のあいまいさが、患者だけではなく他職種にも影響を及ぼしていること気がついたため。

■ディスカッションポイント
自分が改善に携わった業務の担当から外れた時にどのように引き継ぎ、継続的にPDCAを回していくか。

PDCA1周目として以下を行った。
(P)医師・看護師・保育士にアンケートを実施し問題点の明らかにする
(D)アンケートの実施
(C)アンケートの結果集計
 各職種から挙がった問題点を大きく4つに分類し、それぞれに対する改善案を作成
(A)作成した改善案を各部署とすり合わせ、運用を開始

PDCA2週目では、運用を開始された改善案の運用状況の確認と課題の抽出を目的とし、看護師、保育士に経時的な業務満足度調査とその開示を行った。
ここで浮かびがってきた課題は、看護師・保育士は患者安全に加えて、受付から預かりまでの時間を短縮することによる保護者の満足度改善も意識しているというギャップであった。今後は他職種とのビジョンの共有と、多職種によるプロジェクトにすることで病児とその保護者へのアウトカム改善を意識した改善策を検討していくことが必要と考えた。

■参加者からの質問・コメント
業務改善において、困っていることのみに焦点を当てるのではなく、顧客(病児や保護者)を中心としたアウトカムの検討、組織全体へのアウトカム(コストなど)を検討するとよい。また、プロジェクトの継続性を考える上で、多職種協働かつ医師以外の関係職種が主導するようになるとよい。また、熱量がなくても回っていくしくみづくりが重要である。

■岡田先生からのコメント
プロジェクトを始める前提として、PDCAの前段階のFOCUSが重要である。
FOCUS:Find、organize(誰を巻き込むか)、clarify(構造を分析する、手続き的なこと)、understand(どの手続きの部分でなぜこのようなことが起こっているのか)、 select (介入ポイントを1つに絞る)

戦略的手抜きというか、ぼーっとしててもマニュアルを知らなくても間違いなく行われる仕組みをつくることが大切。いかに最小限の資源投入量で達成できるかを真剣に考える。それを、複数のメンバーがみて分析をすることで問題、構造が見やすくなる。みんなで、その構造の穴をみつけた方が、納得感やモチベーションが得やすい。それが熱量にもつながる。

文責:専攻医1年 菊地 真由

このサイトの監修者

亀田ファミリークリニック館山
院長 岡田 唯男

【専門分野】
家庭医療学、公衆衛生学、指導医養成、マタニティケア、慢性疾患、健康増進、プライマリケア・スポーツ医学