紅と白と黒と

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幼少期・思春期のケア、医療機関連携および医療・介護連携

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専攻医3年目の近藤先生によるポートフォリオ発表会でした。

1歳9ヶ月の男児が、大晦日に黒色便を主訴に救急外来を受診しました。2日前に嘔吐し、受診当日には黒色便が2回出ていました。PATは良好で、腹部所見もはっきりしたものはありませんでした。大人では黒色便はよく診るが、子供では珍しいなと感じながら、便を水で溶かし、尿試験紙に浸すと尿潜血強陽性でした。夜間エコーを行いましたが緊急性の高いものはなく、入院しました。翌日には貧血が進行したため、上部消化管内視鏡を実施し、多発潰瘍がありました。潰瘍の原因は精査しましたが不明でした。その後退院し、一度小児科外来で診察したのちは、住所も考慮し亀田ファミリークリニック館山で近藤先生自身がフォローしました。亀田ファミリークリニック館山では、子供の成長、ライフイベントなどを継続的に診ています。

Discussionでは家庭医の頭の考え方から、必要な時には救急のスイッチを入れ対応できたことが挙がりました、また、救急外来・小児科外来・亀田ファミリークリニック館山と診察する場所が異なっていたため、同じ患者さんを診ていても意識的にモードを変えたりしていなかったか、継続性という面でも工夫したことがあったのではという意見が出ました。小児の疾患を知りつつ家庭医として関われたことは、母親の悩みを聴取できたなどの利点があったと考えられます。

岡田先生からは、今回の症例は救急外来に来た時点のクネビンのフレームワークはknowableであり、古典的な秩序で成り立っていると考えられるとのことでした。何か分かってしまえば対応ができるため、EBMとして文献的考察をしっかりとるのも良いかもしれないとのことでした。
またSaultzによると場所・情報・ケアなどといった継続性の種類が挙げられているが、担保された継続性と、担保されなかった継続性についてもかけると家庭医らしいポートフォリオになる可能性があるとのことでした。

このサイトの監修者

亀田ファミリークリニック館山
院長 岡田 唯男

【専門分野】
家庭医療学、公衆衛生学、指導医養成、マタニティケア、慢性疾患、健康増進、プライマリケア・スポーツ医学