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他職種協働のチーム医療/医療機関連携及び医療・介護連携

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協働的能力としての多職種連携コンピテンシーモデル

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専攻医3年目、濵田先生のポートフォリオ発表会でした。KFCT1年目からずっと関わっている患者で、社会的に対応が難しかったが、他職種との連携で問題解決に取り組むことができた事例ということで提示いただきました。

気分障害、知的障害などで他院メンタルクリニックにも通院している中年男性が、横紋筋融解症で入院した際に担当医となり、その後歩行障害のリハ目的にKFCTに通院開始した所から主治医としてかかわり始めました。当初はリハビリ導入に加え、社会的介入もできればと考えていましたが、不定愁訴の多さからなかなか介入できず、家族の問題、パートナーができたことによる環境の変化もありました。ケアマネージャーも困っているとの話を聞き、ケア会議を企画し、その中で本人や各々の情報を共有し、そして皆でゴールを設定し各役職の役割を決定しました。その後、現在も関わりは続いているが、本人の不定愁訴が減り表情が劇的に明るくなりました。

濵田先生からは「協働的能力としての多職種連携コンピテンシーモデル」を共有いただき、主治医を中心にIPWが機能したとの考察があった。ディスカッションでは、知的障害のある方とのコミュニケーションの取り方・情報の担保について、ヘルスエキスパートについて、ケア会議の対象・目標設定について話題があがりました。岡田先生からは、本事例での意思決定支援についてや、PFのエントリーについて複数の領域があげられ、その中でどの領域が一番学びに繋がったか、一番stretch zoneに入っていたかでエントリーが決まるとの話がありました。

粘り強く患者さんにかかわり続けたことに加え、ケア会議の開催で大きく動いた事例でした。患者さんから「師匠!」と呼ばれるようになったことはlongitudinalityである、と岡田先生が話されたとき、筆者は家庭医療の真髄を感じた気がしました。

このサイトの監修者

亀田ファミリークリニック館山
院長 岡田 唯男

【専門分野】
家庭医療学、公衆衛生学、指導医養成、マタニティケア、慢性疾患、健康増進、プライマリケア・スポーツ医学