じっと待つ

エントリー

コミュニケーション

キーワード

患者中心の医療、介護者負担、フレイル、中腰力、ハイダーの理論

post175.jpg

○今回は専攻医1年目の初ポートフォリオ発表でした。症例は60歳男性。両側大腿骨頸部骨折に対してγネイル挿入となっている既往があり、人工関節部の右の下肢筋力低下があり、ADLは車いすレベルに徐々に低下していった方。関わりながらも転倒を繰り返しており、外来にて骨折の診断となることもあった。

筋力低下の原因を探ろうとするも、本人は希望されず精査は進まず。転倒予防のためにリハビリや介入の目を増やそうとデイサービスを増やそうとするも希望されず。妻もその様子にイライラしている。

発表者も何かできることはないか思い悩み、「患者中心の医療」や「精神療法面接のコツ」を引用して患者の周辺情報を整理していくことで、見通しの立たない"焦り""苛立ち"と向き合っていきました。

ディスカッションは、診断は何かというディスカッション、転倒しそうなフレイルの患者への介入法、介護者である妻へのストレスの介入まで広がっていきました。

岡田院長からのコメントとして、さらに発表者自身がもやもやを感じたのはなぜかを掘り下げるとより良い考察になるとのディスカッションがありました。「不確実性に耐える」ことが困難なのか、「陰性感情」を分析するのにアンガーマネジメントを利用、「ハイダーの理論」として人と問題を分けることが役に立つという話まで及びました。

発表者の成長を「じっと待ち」、さらにより良いポートフォリオとなる様、期待しています!

参考文献:
「精神療法面接のコツ」神田橋 條治
「Patient-Centered Medicine 」 Moira Stewart

このサイトの監修者

亀田ファミリークリニック館山
院長 岡田 唯男

【専門分野】
家庭医療学、公衆衛生学、指導医養成、マタニティケア、慢性疾患、健康増進、プライマリケア・スポーツ医学