男性介護者について

エントリー項目:

患者や家族とのラポール形成やコミュニケーションに困難があったにも関わらず、問題を解決して良好なコミュニケーションをとるに至った症例

Key word:

男性介護、ジェンダー、メンズヘルス、SDOH、介護負担

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○今日は「男性介護者」いわゆる"ケアメン"について考察・議論されたポートフォリオ勉強会でした。
今回の発表は、高齢の夫が妻を一人で介護するある夫婦がきっかけとなりました。主治医となった当初はラポール形成に困難を感じていましたが、様々な医学的介入を通じ病態が安定化したことから良好なコミュニケーションをとるに至った症例です。その中で「男性介護者」という視点に注目し考察がなされた発表に対し、活発な議論が展開されました。

今や介護者の4人に1人が男性です。男性介護が増加した要因としては、核家族化、女性の社会進出・ジェンダー規範の揺らぎ、都市近郊高齢者のみ世帯の増加などが考えられています。
また、男性の家事・介護スキルの未熟さ、という要因もありながら、男性の方が女性に比し社会サービス利用の閾値が低い(変に抱え込まない)など、男性介護の長所ともいえる特徴なども挙がりました。一方で、要介護者への家庭内虐待の6割は夫または息子という統計がありますが、介護負担の感じやすさは女性の方が高いというデータもあります。
各症例に対するアプローチは個別性が高いが、「男性介護者」をSDOH*として捉え、プライマリケア医として今後どうアプローチできるか、有意義なディスカッションが行われました。その他、メンズヘルスについて、ジェンダーヘルスの3つの視点や介護負担の評価尺度など、性差について様々な視点で考える学びの多い勉強会となりました。

参考資料(一部):
*SDOH:The social determinants of health 健康の社会的決定要因
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa13/dl/16.pdf
http://www.jri.or.jp/research/pdf/130626-2.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jph/51/4/51_240/_pdf

このサイトの監修者

亀田ファミリークリニック館山
院長 岡田 唯男

【専門分野】
家庭医療学、公衆衛生学、指導医養成、マタニティケア、慢性疾患、健康増進、プライマリケア・スポーツ医学