施設入所可能の連絡後、家族が入所を断ろうとしたケースについて

エントリー項目:

医師としてのプロフェッショナリズム(誠実さ、説明責任、倫理など)を意識して問題解決に取り組んだ症例

Key word:

患者中心の医療、臨床倫理の4分割、Surrogate decision making、Shared decision making

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○今日は亀田総合病院ローテート中の経験を共有し振返りました。入院当初からの面談で退院後は施設入所の方針でした。長期間の入院を経てA施設から入所可能との連絡がありました。
しかし、家族がA施設の入所を断ろうとされたため、ご家族との面談前に多職種カンファを行いました。
そのカンファレンスの内容をもとに家族と面談を行い、A施設に退院となった症例でした。
発表者からは、診療中は主に医学管理だけを考えていたと振返りがありました。家族背景などのコンテクストに関する情報収集/評価を行い患者中心の医療を用いたら、多職種カンファレンスの結果は変わらなかったかもしれないが、関係者の満足度は増したかもしれないという指摘がでました。
臨床倫理の4分割表で振返ると医学的適応、QOLには十分注意して診療していたが、患者の意向や周囲の状況にはあまり気づかなかったとより具体的な振返りとなりました。
多職種カンファレンスで患者中心の医療を行うには臨床倫理の4分割は有用です。
また、患者は意思表示が出来る状態ではありませんでした。家族が患者のことを考えて意思決定を行った方がよいというSurrogate decision making の話題も出ました。家族が自分のことだけでなく患者のことを考えて意思決定を行うことが大事だと考えられました。

このサイトの監修者

亀田ファミリークリニック館山
院長 岡田 唯男

【専門分野】
家庭医療学、公衆衛生学、指導医養成、マタニティケア、慢性疾患、健康増進、プライマリケア・スポーツ医学