3週間研修報告:北里大学学生 武市さん
北里大学6年生の武市さんが当科で3週間研修してくださりました。
将来は在宅診療を行いたいという熱い思いを持って当院へ来られました。定期訪問の同行、ヘルパー・訪問看護同行などを通じて、患者さんの生活に根差した医療の提供や意思決定について幅広く学ばれていた姿が印象的でした。
当科以外にも、総合内科、疼痛緩和ケア科、安房地域医療センター、亀田ファミリークリニック館山の見学日を設けました。ご協力いただきました皆様ありがとうございました。
以下武市さんからの感想です!
お忙しい中、二週間にわたり貴重な機会をいただきまして本当にありがとうございました。
二週間実習をさせていただき、最も強く感じたことは「患者さん一人ひとりには、異なる価値観や生活環境、性格があり、全く同じ人は一人もいない」ということです。実習に参加させていただく前から、患者さん一人ひとりやその家族に一番近くで寄り添える医療がしたいという思いで在宅診療科での実習をお願いしました。頭では、「一人ひとりに合わせた関わり方が大切である」と理解しているつもりでしたが、実際に訪問診療や訪問看護、介護、緩和ケア科、総合内科など様々な視点から日々患者さんのケアを見させていただく中で、「理解した気になっていただけかもしれない」と気付かされる場面が多くありました。
特にこれを実感した出来事が、がんの終末期にある患者さんへの対応です。その患者さんは痛みが強く麻薬性鎮痛薬も導入されており、鎮痛作用は得られているものの、副作用の眠気も現れている状態で、鎮痛薬の用量を調整している場面でした。私は当初、用量を調整する上で、副作用の眠気が出てしまっても、痛みを取り除くことを優先するのが当たり前だと考えていました。しかし、先生方に「痛くても良いから起きていたい」と思う人も「とにかく痛みを取り除いてほしい」と思う人もいるというお話を聞いたときに、自分自身が一方的な価値観で判断していたことに気付かされました。
患者中心の医療を行う上で、本人の意向を尊重することが基本でありながら、それを実際に実践することの難しさを改めて痛感しました。今回の出来事だけでなく、この二週間で私とは異なる価値観をもつ患者さんに多く接する中で、改めて考えを決めつけることなく、一人ひとりと丁寧な対話を行い、その価値観を理解することの重要性を深く実感することが出来ました。
また、日々のカンファレンスを拝見して、全員で情報を共有し、一人ひとりに時間をかけて議論を重ねて向き合っているスタッフの皆様の姿勢を見て、在宅診療がいかに多職種の連携が大切であるかを学ぶことが出来ました。患者さんと向き合うためには、ここまで深く考える姿勢が求められることを実感し、実習前よりもさらに在宅医療に携わりたい気持ちが強くなりました。
最後になりましたが、お忙しい中、私のために総合内科や緩和ケア科など他科での実習、訪問看護や訪問ヘルパーさんとの同行など、特別なスケジュールを組んでくださり、誠にありがとうございました。在宅診療科のチームの皆様や受け入れてくださった他科の先生方に心より感謝申し上げます。また、在宅診療は、生活を支えている訪問介護や訪問看護、医療事務などのコメディカルの皆様の支えがあってこそ成り立っていることも忘れず、将来的には、患者さんやスタッフの皆様と真剣に、丁寧に向き合うことのできる医師を目指して、精進していきたいと思います。とても充実し、成長を実感できた二週間でした。本当にありがとうございました。
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このサイトの監修者
亀田総合病院
在宅診療科 部長 大川 薫
【専門分野】
家庭医療学 在宅医療