部長挨拶

当科ブログに来訪くださり、ありがとうざいます。

当院は千葉県南部の鴨川市にあり、周辺地域は海と田園に包まれた美しい南房総エリアです。基幹病院として急性期高度医療を提供するとともに、地域の医療・介護・福祉のハブとしての役割も担っています。このような環境にある当科の訪問診療の特徴は "高度医療システムに接続した地域基盤型ジェネラリスト医療" といえます。

1.多職種と机を並べる
当科のオフィスは「地域医療支援部」という多職種からなる部署の中にあります。職種の構成は、訪問看護、ナースプラクティショナー(NP)、訪問リハ、訪問栄養、ケアマネージャー、訪問ヘルパーなど訪問系スタッフのみならず、退院調整ナース(DNS)、医療ソーシャルワーカー(MSW)、精神科ソーシャルワーカー(PSW)の総勢70名からなり、大部屋で机を並べています。また、地域連携室、がん相談支援センター、難病支援センターなどの機能も内包しています。
訪問診療の導入は退院時というのが標準的でしたが最近は外来からの依頼が急増しています。ですから、さまざまな職種ときには行政との迅速なコミュニケーションがこれまで以上に重要になっています。地域医療支援部の中では文字通りface-to-faceで情報共有が可能です。
医師はサービス提供の質とタイミングとを学び、個々のヘルスプロフェッションと協働することでその役割を理解できるようになります。また、訪問ヘルパー、退院調整ナース、ケアマネなど他の職種とのピンポイントの同行研修も医師のキャリアの貴重な経験になっているようです。

2.ともに学ぶ、サポートを受ける
「亀田在宅フェローシッププログラム」には当科だけでなく、救命救急科、総合内科などの医師も登録しています。また、様々な科からのローテーター、ナースプラクティショナー(NP)も診療に加わっています。
在宅医療は医療者にとってはいわば "away" です。"home"での作戦会議と振り返りとが大切になります。在宅医療を共に学ぶ仲間とのピアサポート、指導医はディスカッションの他、訪問前のロールプレイや同行訪問などによるサポート体制をとっています。
また、様々なレクチャーの他、ポートフォリオ検討会(月2回)、UCSF老年科Moody医師と臨床倫理カンファレンス(月1回サンフランシスコとWEB接続)を行っています。

3.在宅 × 専門科
緩和ケア科、総合内科、家庭医診療科、腫瘍内科、救命救急科、神経内科、リハ科といった訪問診療に親和性の高い科との緊密な連携、その他の専門医へのアクセスなど総合病院ならではとなっています。個々のスキル・ナレッジを高め更新することは容易ではありませんが、学ぶことに事欠かない環境といえます。

4.翻訳家になる
高度医療や入院医療から在宅医療に移行するときには適切な引き算が必要になることがあります。このとき、医療のコトバと生活者としてのコトバの両方を双方向に翻訳する高い能力が求められます。このようなコアな領域を学んでいくために医師同士、他職種などで一緒に悩み対話する複数のチャンネルでの多くの機会をもつことを重視しています。

将来どのような医師になるにしても、長いキャリアの一時期に在宅医療を学ぶことはおそらく無駄にはならないと考えています。
東京から2時間この地で学ぶことが気になったら、その直感に任せていらしてみてください!

亀田在宅フェローシッププログラム
プログラム責任者 大川薫