研修内容

研修プログラム紹介・教育ポリシー

当院では1993年に在宅診療科が立ち上がりました。以来、地域の基幹病院である総合病院の在宅診療科としては比較的大規模に活動しています。
また当科は、急性期病院と地域とを接続するハブとなる地域医療支援部の中に包含されています。このため、医療・介護・福祉の全般にわたるシステム化された多職種協働により、患者様の在宅療養の支援とアドボケートとしての役割とを担っています。
当プログラムは、在宅医療に必要なスキル・ナレッジはもとより、意思決定支援、医療介護制度、行政とのかかわり方などを、幅広く生涯にわたって学び続けるための基盤をつくることを目標としています。

研修プログラムの特徴

  1. 亀田総合病院に付属する在宅診療科という特性を活かして、広い疾患スペクトラムと重症度の異なる様々な症例を経験することが可能です。
  2. 在宅診療の導入前(退院前や外来通院時)や在宅医療の経過中における緊急入院と退院調整など、患者様の疾患軌道の重要なトランジションに他科医師や多職種と能動的にかかわることができます。
  3. まずは少人数の患者様を『丁寧』に診ることによって、在宅医療のスキル・ナレッジ、意思決定支援の基盤となる"場"を学ぶことのできるプログラムです。
  4. 地域医療支援部のさまざまなヘルスプロフェッション(訪看、リハ、ヘルパー、ケアマネ、MSW、退院調整ナースなど)70名とオープンオフィスに机を並べています。常に一緒に働くことでそれぞれの職種の特徴を知ることができため、卓越した多職種連携のコツが身に付きます。
  5. プログラムコーディネーター、メンターとの相談により、個々の到達目標と研修の進行状況を確認しながら研修を進めることが可能です。
  6. 臨床研修指定病院であるため当科以外のレクチャーなど多岐にわたる学習の機会は潤沢です。各専門領域の他、チームステップス、コーチング、メディエーションなどの研修を受けることも可能です。

研修プログラム

研修プログラム名:亀田在宅フェローシッププログラム
研修施設:亀田総合病院在宅診療科、亀田ファミリークリニック館山、安房地域医療センター総合診療科
フェローシップ研修期間:1〜2年
学会への登録では1年ですが、学習者の希望に応じて延長して学ぶことができます。

※フェローシップの対象

  • 在宅医療研修プログラム終了時に医師として5年の経験がある
  • 基礎学会の専門医の有無は問わない(2025年までは免除)
  • 内科研修6ヵ月以上

在宅診療科での学び

1日の流れ
8:00 出勤
8:30 訪問チーム朝ミーティング
9:00 地域診療部全体ミーティング
9:15 訪問準備
10:00 午前訪問
12:00 昼休み
13:00 午後訪問
16:30 訪問チーム夕ミーティング
17:00 医師チームミーチィング
17:30 勤務終了

訪問チーム朝夕ミーティング:訪問看護師・訪問リハビリ・訪問歯科衛生士との合同ミーティングです。多角的に患者の様子を共有しておくことで、全ての在宅患者の把握と多職種による情報共有ができます。

curriculum01.jpg
curriculum02.jpg

訪問準備:実際に訪問予定の患者に関する情報収集をします。訪問前に、訪問看護・訪問介護・訪問リハビリなど必要な情報を収集することで、診療の質を担保することができます。
curriculum03.jpg
医師チームミーティング:診療の振り返りを行います。医学的な介入や対応などで悩んだ点を共有し、臨床疑問の解決のために日々話し合いをしています。
curriculum04.jpg
レクチャー・カンファレンス
□フェロー・デイ:
フェローの学びのために在宅診療のいろはが学べる勉強会を毎週開催しています。
ポートフォリオの卵レクチャー:ポートフォリオ基盤型学習は専門医取得の研修要件の一つです。日々の学びを蓄積した記録である「学習ポートフォリオ」をもとに、評価用の「ショーケースポートフォリオ」を作成していきます。フェロー・デイとして、定期的にポートフォリオ勉強会を開催し、持ち回りで自身のショーケースポートフォリオ(の卵)を発表、皆で議論して完成への足掛かりをつくります。
在宅 X 緩和ケアレクチャー:緩和ケアチーム(PCT)の医師・薬剤師さんを迎えて、エビデンスやガイドラインをどのように臨床的に実装していくかを考えます。緩和ケアチームの病院での臨床と在宅医療セッティングでの実践とからベストプラクティスを探ります。
在宅レクチャー:在宅医師、他科医師、訪問看護師、訪問リハビリ、MSWによるレクチャーを開催しています。具体的には、在宅での褥瘡管理や神経難病、意思決定支援、Advance care Planning、訪問リハビリの仕組み、診療報酬、様々な助成制度など在宅診療を行うために必要な知識のレクチャーを受けることが出来ます。
□臨床倫理カンファレンス:UCSFの老年医学の医師と遠隔で英語による症例をベースにした臨床倫理に関するカンファレンスを開催しています。
□緩和ケア科カンファレンス:院内緩和ケアチームと在宅緩和ケアについて症例ごとに議論します。
□神経内科カンファレンス:神経内科疾患の症例ごとに脳神経内科医と話し合う機会を持っています。

亀田在宅研修はこのような方にオススメ!

  • 病棟・外来の経験はあるけど、さらに在宅医療をしっかり学んでみたい
  • 指導医のバックアップ体制のあるなかで在宅医療を学び始めたい
  • 様々な種類のがんや神経難病などの症例を多く診たい
  • 多職種と同じ部屋で一緒に働きながら実効的な多職種連携を学びたい
  • 入院した後も経過を追いたい、退院までの調整に深くかかわりたい
  • 将来は在宅診療を中心とした開業を考えている

ぜひ在宅診療に興味のある皆様の見学・就職をお待ちしております!