ポートフォリオ勉強会 〜家族ケア〜
「家族ケア」に関して、フェローの江口医師からのプレゼンテーションをもとにDiscussionしました。
■内容
日々の定期訪問で、患者さんのご家族より、自身の体調変化や今後自分が患者を見れなくなった時の不安を仰ることがありました。
今回は、在宅医療を受けている患者さんの「介護者;ご家族」について考えました。
介護者は、大切な人のケアをすることの満足感や、必要とされている意味を見出せる点がある反面、長期的で、予測できず、コントロールできない、身体的心理的な負担を強いられます。
「健康面」「経済面」「介護知識・スキルの欠如」の3点についての懸念点があると言われています。
これまで「家族ケア」という言葉は、介護者の健康状態や心理面についてケアをしていくことが、家族ケアだと考えていました。
しかし、介護者と共同して療養をサポートしていくために、医療者の視点とネットワークで、ケアに必要な器具について行政にかけ合ってみることも、(腰痛予防などの)適切な介助方法を提案することも、家族ケアだと学びました。
介護者へのアンケート調査での「患者とともに暮らす喜びと生きがい」の中で、1番回答が多かったのは、「本人を通して人との出会いや触れ合いがある」ことでした。
日々患者さんからも介護者さんからも、多くのことを学ばせて頂いております。
これからも、暮らしとケアを尊重して、医療者として支えられることはないかを模索して参ります。
■Discussion
「障害者とともに暮らす喜び・生きがいの部分で本人を通して人との出会いや触れ合いがあるという意見が多数を占めている。家族ケアの期間が長くなると、訪問看護師などの結びつきが強くなったりすることで、家族にとって訪問診療がそういう存在になりうるケースが出てくる。」
「家族指導の中で安全性を配慮しすぎるがあまりrisk based careのような形になってしまうことがある。まずはどうであれ受け入れること。こちらが必要なものを関係性の中で徐々に提示していくように診療していく。」
「普段から介護を行う家族に対してのケアとして、疲れてませんか?眠れてますか?など声かけをしているがまだ表面的だったと感じた。学ぶべき点としては、医師もどのような行政やサポートが出来るか方法を知らないといけないと思う。また、個々の家族によって背景もまちまちであり、表面的な声かけも効果的なこともあるが、訪問のたびに家族の声を拾うという意識を持ち真摯に対応することが家族ケアにつながるのかなと感じた。」
皆様は「家族ケア」について大切な視点などどのように思われますでしょうか??
今後もポートフォリオの学びをシェアし、皆様にも考えていただけるような場になればと思っております。
〜ポートフォリオ勉強会とは〜
ポートフォリオ基盤型学習は専門医取得の研修要件の一つです。「今この経験は、在宅医となるために必要なも知識・技術・考え方の全体のうちの、この領域のこの部分を学んでいる」ということを意識して診療することが求められます。日々の学びを蓄積した記録である「学習ポートフォリオ」をもとに、評価用の「ショーケースポートフォリオ」を作成していきます。
亀田在宅では定期的にポートフォリオ勉強会を開催していて、来年から再来年にかけて専門医取得を目指す面々が持ち回りで自身のショーケースポートフォリオ(の卵)を発表しています。
このサイトの監修者
亀田総合病院
在宅診療科 部長 大川 薫
【専門分野】
家庭医療学 在宅医療