肺炎の原因は、感染性病態と非感染性病態に分けて考える

肺炎は肺の炎症性疾患の総称であり、臨床では、咳嗽や呼吸困難など呼吸器症状があり、胸部レントゲン写真で新規の陰影があれば、肺炎の診断となります。

肺炎は代表的な呼吸器疾患ですが、その機序は多様であり、広く鑑別診断が挙がります。

呼吸器内科において肺炎を診療する際に、重要な観点は、「感染か非感染かを考える」ことです。

感染性肺炎の代表と言える肺炎球菌性肺炎やマイコプラズマ肺炎は抗菌薬による治療が必要となりますが、特発性器質化肺炎や好酸球性肺炎ではステロイドなどの免疫抑制療法が必要になります。

感染と非感染では治療が、全く異なるのです。


また、血液悪性腫瘍、固形癌、膠原病などに対し、各種の抗がん薬や免疫抑制薬が広く用いられるようになり、免疫抑制状態にある患者さんも増加しています。

そこで、感染については、「免疫正常者」か「免疫不全者」かに着目すると、鑑別がしやすくなります。

よって、臨床で患者さんを診て行く際は、次のようなメモを取り鑑別診断を書くと実用的です。

肺炎の原因は、感染性病態と非感染性病態に分けて考える

感染性病態(免疫正常者or免疫不全者)、非感染性病態に分けて考えるのは、肺炎を診療する際に、有用な鑑別の軸になると思います。

なお免疫不全者の肺炎は免疫正常者がかかる肺炎の原因菌すべてが原因となりうるので、これらに対しても注意を怠らないこと。
高齢のADL不良者では肺炎の症状が前面に出て、陰に肺結核が隠れていることもあるので、抗酸菌にも注意が必要です。

このサイトの監修者

亀田総合病院
呼吸器内科部長 中島 啓

【専門分野】
呼吸器疾患