ご挨拶

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皆様、ホームページご閲覧頂きありがとうございます。
脳血管内治療科の主任部長 田中 美千裕(たなかみちひろ)と申します。
亀田総合病院の脳血管内治療科は2020年4月1日 に新たな診療科として開設されました。 脳血管内治療とは脳血管の病気に対し、カテーテルで患部に達して、出血の原因となる脳動脈瘤や脳動静脈奇形を閉塞して止血したり、あるいは脳梗塞の原因となる血栓を体外へ回収したり、動脈硬化で細くなっている血管を広げたりする治療です。

脳血管内治療との出会い

私がこの治療法を初めて経験したのは国立循環器病研究センターに所属していた1994年でした。 当時はカテーテルなどの器具が未発達であり、また脳血管内手術では血管撮影装置というX線による透視装置を使うのですが、その装置の性能が低かったので、本治療で救える患者さんは限られておりました。 そんな時代の1995年70歳代のくも膜下出血の患者さんが入院されました。その患者さんは脳の中心部に位置する脳底動脈先端部にできた8mm程の動脈瘤が破裂してくも膜下出血となった方で、この動脈瘤は脳の中心部に位置していたため、従来の顕微鏡を使用した開頭手術では到達するのも困難で、また開頭手術では脳神経の麻痺や脳梗塞など合併症の出る危険性が大きいことから、当時まだあまり普及していなかったカテーテル治療を行うことになったのです。

実践と経験

脳血管撮影装置の寝台に載せられた患者さんの大腿動脈からボールペン位の太さのカテーテルを挿入し、X線透視を見ながら椎骨動脈という頚部の背側にある動脈に誘導しました。そのカテーテルの中にさらに細いボールペンの芯ほどの径の柔らかくしなやかなマイクロカテーテルを誘導して椎骨動脈を経由してついに脳底動脈の先端部にある脳動脈瘤へ達することができました。 そのマイクロカテーテルの中にさらに細くて柔らかいプラチナ製のコイルを入れていきます。このコイルは150cm程の長さのワイヤーの先端に連結されていて、マイクロカテーテルからコイルが出るとワイヤーから離脱して瘤内にそのまま留置されるものでした。異なるサイズと長さのコイルを計10本程慎重に瘤内に挿入し動脈瘤はコイルで充填され、手術は無事終了。 術後患者さんはなんの傷もなく、また脳神経の症状も無く経過され、くも膜下出血で倒れてから2週間後には独歩で退院され、元の生活に戻ることができたのでした。
この患者さんが元気に退院する様子を目の当たりにして、脳血管内治療の素晴らしさを実感し、またこの治療法が21世紀の脳卒中治療の中心になることを確信したのでした。

亀田総合病院脳血管内治療科の特徴

  1. 高品質な画像と豊富な解剖学の知識に基づいた正確な診断
  2. 安全な手術と合併症率の低さ
  3. 緊急性のある疾患については24時間365 日手術可能とし地域医療に貢献 
  4. 恵まれた環境の中での入院施設と短い在院日数
  5. 外来やセカンドオピニオンは京橋や幕張など利便の良いクリニックで可能

目標

  1. 世界基準に準拠した質の高い診断と治療を行う。
  2. 手術後も丁寧に外来で経過観察を行い、治療の長期成績を評価する。
  3. 治療困難な疾患に対しても可能なかぎり治療法を模索して、患者さんと情報を共有する。
  4. 臨床データを科学的に分析して国際学会や学術機関誌に発表し、世界に向けて情報発信していく。

患者さんへ

脳動脈瘤、脳梗塞、動静脈奇形、硬膜動静脈瘻などと診断されたらいつでもご相談ください。
脳血管内治療の専門家として皆様の疑問や不安に対して丁寧に説明して、最適な治療法を提案させて頂きます。 また治療せずに経過観察する場合でも、患者さんの精神的不安をサポートしながら、最新の画像診断装置に基づいたきめ細かな診察を行っております。

ご紹介いただく医療施設の皆様へ

脳血管内治療の指導医・専門医としてご相談頂いた患者さんにとって最善の方法をご提供させて頂きます。 手術後も画像情報と手術内容の詳細をご報告させて頂き、ご紹介頂いた先生と情報を共有していきます。