回復期〜生活期リハを担当し人生に寄り添っている症例

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リハビリテーション

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〇リハビリテーション(以下 リハ)病院で勤務していたころから担当し、引き続き当院外来でフォローしていた、視床出血の患者さん。右麻痺が重度で、主治医からは急性期病院から療養型病院レベルだと言われた中で、リハに賭けたい!とがんばった。

ICF(国際生活機能分類)で障害を捉えた。
心身機能障害である頻脈で、離床が許可できないため、精査加療。
活動制限である歩行障害には、理学療法で対応。
社会的不利の点では、もとの仕事は夫が引き継ぐなどして、
自宅に帰ることができた。

その後、デイケアへ移行したとき、新たに癌と診断された ときなど、状況変化ごとにICFで評価した。

急性期〜回復期は、身体機能や活動に着目されやすい。
回復期〜生活期では、活動や参加に着目しやすくなる。

一部の施設では、ICFを基本動作のステージングを利用し介入しているところもある。

ディスカッションでは
自分が担当している患者が、障害受容がどこまでできているのか、把握するのは難しいことが話題に上がった。障害受容の段階理論で、どこにいるのか、検討してもよいかもしれない。
ICFの内容はケアマネがつくるサービス計画書に似ており、ケア会議に出て、医師としての意見交換に活用してもよいのではないか。
本人の生き甲斐がどういったところにあるのか。
ICFという視点を、日常外来に取り入れるタイミングは、なにか障害があると感じたとき。
医師は「心身機能」と「参加」は考えやすいが、「活動」は抜け落ちがちなので、意識的に関わるメリットもある。
という話題が出た。

岡田先生から:
リハを語ってポートフォリオを書くには、ICFをいかに理解して活用しているか、を示す必要がある。ICFは見落としに気付きやすくて、いいモデル。'障害'は、周囲の環境に応じて生じるもので、絶対的なものではない。絶対的な問題ではない、というのが臓器別専門医と違って、リハ科医、家庭医、東洋医学、緩和ケア医に通じるジェネラリストの視点。問題と周辺の環境を分けて考えることはできない。

ニーバーの祈り
「父よ、私に変えねばならないものを変える勇気を、どうしようもないものを受け入れる静穏を、そして、それらを見分ける洞察力を与えて下さい。」
見分ける能力が極めて難しい。

Hope for the best, and prepare for the worst:
最も良い方向に進んで行くことを期待しながら、
よくない方向に進んでいった場合を想定し、
備えよう。

参考文献:

その患者さん、リハ必要ですよ! ! 病棟で、外来で、今すぐ役立つ! 評価・オーダー・運動療法、実践リハビリテーションのコツ 単行本- 2016/6/13
若林 秀隆 (編集), 岡田 唯男 (その他), 北西 史直 (その他)

Hope for the best, and prepare for the worst;最善を目指して最悪に備える
Ann Intern Med. 2003;138(5):439-443.

このサイトの監修者

亀田ファミリークリニック館山
院長 岡田 唯男

【専門分野】
家庭医療学、公衆衛生学、指導医養成、マタニティケア、慢性疾患、健康増進、プライマリケア・スポーツ医学