子宮頸がん 手術+放射線療法後、局所再発にて骨盤内臓全摘後の尿管狭窄に対しては~回腸尿管利用、回腸導管尿管再吻合術について~

#子宮頸部原発粘液性癌 stage IB期 pT1b1N0M0 v+
 ATH+BSO 術後、全骨盤に放射線治療の症例

子宮頸部異型腺癌腟断端再発、膀胱再発の症例です。再発腫瘍は小さく、限局性であったため2022年4月【腹腔鏡下前方骨盤内臓全摘+回腸導管造設術】を施行しました。術後経過は良かったのですが、2か月目に両側水腎症となり、両側尿管ステント留置となりました。ステント留置1ヵ月後からステント閉塞による腎盂腎炎を繰り返すようになり、2週間毎のステント交換にて対応していましたが、ステント交換時、尿管狭窄が強く、ステント交換も難しくなってきました。

放射線照射による尿管狭窄の可能性が高く、尿路再建を立案し11月腹腔鏡下左回腸尿管-回腸導管吻合、右尿管回腸導管再吻合術を行いました。放射線照射の影響があった尿管は壊死しており、閉塞の原因が理解できました。左の尿管は腎下極レベルで正常尿管を確保できました。遊離回腸を再度20㎝切り出し、左尿管と回腸尿管、回腸尿管と既存の回腸導管に吻合、右は腎下極レベルで同様に切断し、既存の回腸導管に尿管を再吻合しています。12月にステント抜去しています。


遊離回腸と既存の回腸導管を吻合


腹腔鏡下に左尿管と回腸を吻合


術後CTにてステント抜去後も右腎盂の軽度拡張のみで4か月経過しています。

【考察】膀胱全摘などで尿管回腸導管吻合部狭窄は一定の確率で起こりえます。Alonsoらは尿管回腸導管の術後27%に吻合部狭窄があり、腹腔鏡下あるいはロボット支援手術での再建手術を行い良好な成績であったと報告しています。1)

尿管回腸導管吻合部狭窄でステント留置され、腎盂腎炎を繰り返す症例は決して少なくないと思います。積極的に根本的な原因を精査し、改善できる可能性があるものは再手術するかどうかは別として提示することも大事だと思います。皆さんが同じ状況だとどうして欲しいですか?

参考文献
1)Ureteroileal anastomosis stricture after urinary diversions performed by open, laparoscopic and robotic approaches. Incidence and management in a tertiary care center.
Alonso Mediavilla E, Campos-Juanatey F, Azcárraga Aranegui G, Varea Malo R, Ballestero Diego R, Domínguez Esteban M, Ramos Barseló E, Zubillaga Guerrero S, Calleja Hermosa P, Gutiérrez Baños JL.Actas Urol Esp (Engl Ed). 2022 Jan-Feb;46(1):49-56. doi: 10.1016/j.acuroe.2021.06.010. Epub 2021 Nov 25.

このサイトの監修者

亀田総合病院
泌尿器科部長 安倍 弘和

【専門分野】
泌尿器疾患一般 腹腔鏡下手術