直腸がん膀胱浸潤にともなう15分毎の頻尿、疼痛には

骨盤内の腫瘍(がんや肉腫)の再発や浸潤によって、排尿症状、排便症状、腹部症状などが出現することは容易に想像できると思います。
今回ご相談のあった方は S状結腸癌の膀胱浸潤により膀胱刺激症状が強く、15分毎の頻尿がありました。放射線照射もされ、放射線性膀胱炎に膀胱直腸瘻が合併し、糞尿にもなっておられました。
オピオイドを含めた鎮痛剤によるBSCが選択されますが、改善乏しく困られてのご相談です。分子標的薬や放射線治療後など決して条件が良いわけではありませんでしたが、当院腫瘍外科医と術前カンファレンスでGoサインとなりました。
2022年11月に 腹腔鏡下骨盤内臓全摘術+回腸導管造設術を施行しました。
術後は、Candida菌血症や胆道系酵素の上昇などありましたが、ICU、感染症内科など複数科と連携し、徐々に改善され退院されています。
「痛みもなくなり、良く寝れるようになった。」と喜んでおられました。手術をしたから予後が伸びるかどうかはわからないですが、毎日のストレスを軽減できたことは言うまでもありません。
緩和ケア目的の手術ととらえる見方もあるかも知れません。緩和ケアは疼痛などだけでなく、精神的、社会的なケアが必要な分野です。BSCの中にも積極的な切除を行った方が良い場合もあるということを心がけておくことが大事だと思います。

このサイトの監修者

亀田総合病院
泌尿器科部長 安倍 弘和

【専門分野】
泌尿器疾患一般 腹腔鏡下手術