入院期間2泊3日 腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC)
腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC)は、骨盤臓器脱の理想的な修復術の一つです。本邦で行われるLSCは子宮を半分切除する方法がほとんどで子宮を温存する手術はほとんど施行されていません。
鼠経ヘルニアの腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術は日帰り、1泊2日、ながくても2泊3日でしょう。直腸脱の腹腔鏡下直腸固定術は当院では2泊3日です。
LSCもヘルニア門をメッシュで覆う手術です。侵襲が大きくならないはずです。侵襲が増えると術後の回復が遅くなるため入院期間も長くなります。
手術侵襲とは 1.手術時間 2.出血 3.凝固 4.切除などがあたります。つまり手術時間は短く、出血がなく、凝固(やけど)がなく、何も取らないと侵襲は少なくなります。一つ一つの手技を見直し(手術技術を磨き:きれいに、正確に)侵襲を極限まで減らす努力をします。
LSCやRASCなど広く手術がされるようになっていますが、1週間程度の入院が多いように感じます。
ERASプロトコールにより、低侵襲手術で2泊3日の入院期間を実現します。
【LSCのERASポイント】
- 手術後にカテーテルが入らない。
- 手術後3時間から歩行やトイレは自由
- 手術後3時間から食事制限なし
前日 | 手術日 | 術後 1日目〜2日目 退院 | 特記事項 | |
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処置 | 14時入院 PCR検査 オリエンテーション |
尿道カテーテルなし (手術終了後抜きます) 術中TAPブロック 鎮痛剤内服 |
鎮痛剤内服 | 2日目以降 シャワー、入浴可 |
飲水 食事 |
制限なし | 術後3時間〜 飲水開始、飲食開始 |
制限なし | 便秘しないように |
安静度 | 制限なし | 術後3時間〜 自立歩行 トイレ |
制限なし | 1カ月間は腹圧をかけない。 1カ月後から夫婦生活 |
【症例】70歳+α
【膀胱鏡所見】
三角部と後壁にヘルニア門があることがわかります。
ヘルニア門をしっかり覆うことが重要です。
術前に膀胱鏡でチェックするのも重要だと感じています。
金曜日:入院
土曜日:腹腔鏡下仙骨腟固定術、子宮温存
手術時間3時間00分、出血微量
日曜日退院
手術後、麻酔薬による嘔吐はありましたが、3時間後には歩行開始、排尿も改善されました。翌日は多少痛みはあるものの、鎮痛剤にて自制内で、食事摂取も良好で退院となりました。
このサイトの監修者
亀田総合病院
泌尿器科部長 安倍 弘和
【専門分野】
泌尿器疾患一般 腹腔鏡下手術