守破離(指導について)

守破離
剣道や茶道などで、修業における段階を示したもの。「守」は、師や流派の教え、型、技を忠実に守り、確実に身につける段階。「破」は、他の師や流派の教えについても考え、良いものを取り入れ、心技を発展させる段階。「離」は、一つの流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階。(コトバンクより)

日本は茶道、華道、武道など日本古来の文化を持ち、礼儀作法や教養を身に着けてきました。日本人は知らず知らずのうちに何かを教えたり、学んだりする時に日本文化の歴史的な影響を受けているのだと思います。
我々が実施するのは西洋医学・医療です。西欧の医療教育は集中と効率化されています。システムで仕事することがとても洗練されていると感じます。一方で人によりますが奥深さ、細かさなどはいろいろな場面でざっくりしていると感じることが多いのではないでしょうか。日本では面々と受け継がれる教育方法に西欧の良さを取り入れマイナーチェンジし進化しています。総じて日本の医療技術の高さは世界に通じると思います。
医療も守破離に通ずると思います。3段階はざっくり簡潔にまとめられた成長曲線でしょう。初期・後期研修、医長、部長のようにそれぞれの役割があります。
手術技術の成長は何億・何兆あるいはもっともっと細かな段階があるのだと思います。その一つ一つをかいつまみ、振り返った時に自分の立っている目線が変わっていることに気づきます。成長は自ら求めるから成長できますし、師が頭ごなしに学びを教えつけたところで、学びは少ないと思っています。
それぞれの流派に型があり作法があります。型や作法は押し付け?と疑問になりますが押しつけですね。(笑)相反するような事象を理解する能力も成長なのだと思います。
医療技術の進歩と共に「守」を飛び越え、あるいは面倒な事を簡単に、やりたいように実現できるようになってきたような気がしていますが、両方を上手く取り入れる能力も必要だと思います。

衣食住の中にもそれぞれ、求める内容、深さはあります。「守」のこだわりは、もちろん良い事悪い事があるはずで、そのこだわり一つ一つ良い悪い、0、1の法則で向かい入れられるものです。またその場所、その時でこだわりが悪になり良となることもしばしばです。
その最低限が「守」ではないでしょうか。
指導医や流派は手術技術を伝えるための「守」を指南する責務があります。そもそも「守」無きところに「守」は指導できません。
茶道、華道、武道に型があるように、手術にも型があります。これは師匠から面々と面と面を突き合わせ教わってきた型です。
言葉や文章で伝わらない行間を読む力、協調性、空気感、ノンバーバル、ハンドサイン、グルーブ感、などなど

手術をするからには「守」を身体に沁みこませ、

  1. 「守」を修得して欲しい!
  2. そして「破」っと目覚めて!
  3. 「離」羽ばたいていってほしい!

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このサイトの監修者

亀田総合病院
泌尿器科部長 安倍 弘和

【専門分野】
泌尿器疾患一般 腹腔鏡下手術