みぎ回腸尿管での再建 尿路再建をあきらめない〜医原性尿管損傷〜

「医原性尿管損傷」一生腎瘻管理? Or 内瘻化手術? 

70代女性、子宮体癌の手術後、右の水腎症(医原性尿管損傷)の治療ケースです。
Boari Flapにて尿路再建を施行されていましたが、約半年後Boari Flapの狭窄のため水腎症となり、腎瘻を再造設されています。

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ご本人もご家族もあきらめかけておられましたが、腸管を利用した再建術があることを説明しましたところチャレンジを決意されました。

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尿管と回腸を吻合

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回腸と膀胱の吻合

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術後2か月目のCT:水腎症は改善

【経過】手術時間は4時間58分、出血量は微量でした。もちろん癒着はありますが、癒着剥離を上手く行うテクニックを磨いておくことはとても重要です。
腎瘻がある生活、内瘻化された生活どちらを皆様は選択されますか?

長期成績を示した論文では、平均4年間(1〜16年間)で83%の成功率でした。この論文の中で最も複雑な尿管狭窄には回腸尿管や自己腎移植などのオプションがあり、特に放射線や結石疾患の狭窄には回腸尿管が施行されています。1)

必ずしもすべての人に同じような結果が得られるとは限りませんが、検討すべき術式と考えられます。

【参考文献】
1)Long-term Follow Up of Ileal Ureteral Replacement for Complex Ureteral Strictures: Single Institution Study.
Launer BM, Redger KD, Koslov DS, Sax-Bolder AN, Higuchi TT, Windsperger AP, Flynn BJ.Urology. 2021 Nov;157:257-262.

このサイトの監修者

亀田総合病院
泌尿器科部長 安倍 弘和

【専門分野】
泌尿器疾患一般 腹腔鏡下手術