女性泌尿器科・骨盤底再建外科外来

日本の高齢化に伴い、QOL(生活の質)疾患と呼ばれる骨盤臓器脱や腹圧性尿失禁に対する外科治療のニーズが増えています。一方高齢者への麻酔や周術期管理(術前、術中、術後の全身状態の管理)はまだまだ、行き届いていないのが現状ではないかと思います。当院のおかれた高齢者の多い地域で、手術管理にたけた麻酔科医や看護師の協力のもとERAS(Enhanced Recovery After Surgery)を導入し、かなり良い感触を得ています。このERASプロトコールでの腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC)では2泊3日あるいは3泊4日の入院で社会復帰できることに結びつきました。以前にも貼り付けましたが、病棟看護師からのアンケート結果を添付します。

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また、多くの施設で婦人科疾患に腹腔鏡やロボット手術の導入が急速に進み、低侵襲手術の恩恵を受けることにつながっていますが、少数の方で「医原性尿路損傷:膀胱損傷、尿管損傷、膀胱腟ろう、尿管腟ろうなど」手術の合併症に悩まされる方もおられます。残念ながら、泌尿器科医すべてに医原性尿路損傷の修復方法が教育されているわけでなく、知識不足や経験不足から冷たい対応(永久腎瘻、腎摘を提示)をされるケースが多いように思います。当科では泌尿器科医への教育を含めこの問題に取り組もうと、専門外来の立ち上げに至りました。
泌尿器科医としてメスを握るからには医原性尿路損傷の修復はしっかりと身につけて欲しいと心から思います。

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このサイトの監修者

亀田総合病院
泌尿器科部長 安倍 弘和

【専門分野】
泌尿器疾患一般 腹腔鏡下手術