亀田メディカルセンター｜亀田総合病院 泌尿器科【K style, The road to UroMaster】

亀田メディカルセンターならではの日常臨床をご紹介したいと思います。

【症例】：90+α歳、男性
【現病歴】約1年前に尿閉となり膀胱留置カテーテルによる排尿管理が開始された。1カ月毎のカテーテル交換をされていたが、疼痛などがありストレスの多い生活であった。
高齢のため手術の選択肢はないと言われ、当院を知人より紹介され受診となる。
【既往歴】狭心症
【検査所見】PS（performance status）０、ECG：正常、呼吸機能（FEV）78（正常）
　　　　心エコー：EF69%
【MRI】前立腺容量68ml、膀胱壁肥厚、膀胱憩室
【術前尿培養】E.coli3+　R：ABPC、ST
　　　　Serratia maroesoens3+　R：ABPC、CEZ、S/A
【術前カンファレンス】
高齢ではあるが、大きな合併症はなくopは可能と判断。

【治療経過】
201x/11/　【脊椎麻酔下　経尿道的ホルミニウムレーザー前立腺核出術（HoLEP）】施行
　　　　　核出重量：32g
２POD　膀胱留置カテーテル抜去
３POD　発熱　血液培養陽性　（E.coli:　R:ABPC）　→　抗生剤開始（T/P）
４POD　解熱　
９POD　退院

術後3か月後
【IPSS】 0000002　QOL1
【OABSS】0200

その後5年、カテーテルを留置することなく自然に排尿され、元気に過ごされました。
「青年の時のようなおしっこが出る」とご家族に喜んでお話しされていました。
年齢を重ねると機能低下があることは確かですが、一人一人の全身状態をチェックし、年齢だけで判断されないようにしなければなりません。

ワンポイント：
長期膀胱留置カテーテルは尿路感染症のリスクファクターです。手術前に尿閉になった方は感染症の可能性が高くなります。HoLEP後、0-6.9%が尿路感染症を発症します。1術前に尿培養の実施は重要です。適切な抗生剤の選択ができます。

1) Peri-operative complications of holmium laser enucleation of the prostate: experience in the first 280 patients、 and a review of literature、 Hemendra N Shah 、 Amol P Mahajan、 Sunil S Hegde、 Manish B Bansal、BJU Int、2007 Jul;100(1):94-101.