【外科系レジデントへ 腹腔鏡テクニックレクチャー】

朝7時から40分間の腹腔鏡手術について、初期研修医、後期研修医対象に腹腔鏡のスタンダードなテクニックと尿路損傷後のrepairについて解説しました。

  1. 画面は術野に対し、同じ方向にセッティングする。 (骨盤底のopで画面を高くしているケースもみられ、人体工学的に疲れやすくなることなど)
  2. 画面はアクティブな鉗子を追従すると、術者に3Dとして認識しやすくなり、opに一体感が生まれること。画面が静止していると、光の反射に変化が生まれないため奥行きが感じにくくなる。

質問:助手も何をやりたいのかわかないとできないですよね? 
答え:その通りです。やらされる感覚から、自ら意識し学ぶことで腹腔鏡手術の面白みが伝わります。

次にリクエスト頂いた、尿管損傷、膀胱損傷のリペアについて説明。

  1. 尿管損傷の際の、覚えておくと安心なリペア方法は2つ、Psoas hitchとBoari Flapです。総腸骨動静脈より低い位置だとPsoas hitchでrepair、それ以上ならBoariがbetter。Boariは腎下極レベルまで伸ばせるため、非常に有効なrepair方法であること
  2. 腹腔鏡下での4cm程度縦切開し、膀胱筋層と粘膜層をわけ、粘膜下トンネルの作成する方法を説明。
  3. 尿路に露出する縫合糸は、ラピッドバイクリルやモノクリルなど早めに溶ける糸が勧められる。
  4. 膀胱損傷、部分切除の際は、瘻孔などのopの場合は粘膜を連続縫合、筋層を結節縫合することが大事と説明。炎症など組織血流が悪い場所では、膀胱は一層縫合ではなく、2層縫合しできれば腹膜で覆っておくとよりbetterと解説。

質問:尿管の端々吻合もありえますよね?
答え:もちろん、端々吻合もできます。ただ、尿管損傷をする際の病態は、炎症や癌の癒着など同部の尿管の状態が、あまり良くなく、吻合したとしても尿管狭窄などで尿管ステントを挿入し一生取れない可能性があるため、つなぐなら、綺麗な尿管同士をつなぎたい。

最後に実際にドライボックスでの練習方法を説明。

  1. 持針器は握り込むと、針をやわらかくコントロールすることが難しくなるため、指先で把持するとよい。
  2. 持針器の持ち方は対象物によって、脇が開かないようにコントロールすると針の運針がスムースになること、疲れにくいことなど

あっという間の40分でしたが亀田レジデントの熱い姿勢には、こちらも頑張る意欲をもらえた朝でした。

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このサイトの監修者

亀田総合病院
泌尿器科部長 安倍 弘和

【専門分野】
泌尿器疾患一般 腹腔鏡下手術